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カレーソーセージをめぐるレーナの物語 の商品レビュー

4.2

11件のお客様レビュー

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2019/02/03

大戦末期のハンブルグ。未亡人レーナは、脱走兵ブレーナーを自宅にかくまう。見つかったら銃殺刑、人目を忍ぶ緊張の日々が物語の冒頭に描かれるが、ハンブルグが降伏した時にはレーナの恋情に火がついていた。かくしてレーナは、戦争が終わったことを隠し続ける...。 ドイツのソウルフードである...

大戦末期のハンブルグ。未亡人レーナは、脱走兵ブレーナーを自宅にかくまう。見つかったら銃殺刑、人目を忍ぶ緊張の日々が物語の冒頭に描かれるが、ハンブルグが降伏した時にはレーナの恋情に火がついていた。かくしてレーナは、戦争が終わったことを隠し続ける...。 ドイツのソウルフードである「カレーソーセージ」のルーツに興味を持った主人公が、屋台第一号を開いたレーナに発明のエピソードを尋ねる。その聞き書きが本書。であるがレーナの話は一向にカレーソーセージにつながらず、戦前戦後のブレーナーとの物語を延々と語り続ける。前半から中盤にかけてもどかしいのだが、終盤の展開は鮮やか。それこそ一流料理人によって手際よくフライパンのなかで転がされたような気持ち。 ひょんな偶然と、運命的なめぐりあわせによって誕生した偶然の逸品「カレーソーセージ」が出来上がる場面は、ドラマに満ちており、ドイツの悲劇をも語っている。そして何よりおいしそう! 小品ですが、素晴らしい小説です。エンディングも記憶に残る印象的なものでした。

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2016/03/28

レーナ・ブリュッカー夫人の人柄 どんな状況も笑いに変えること、 自分自身を笑い飛ばすこと。 カレーは憂鬱を吹き飛ばす神様の食べ物 終戦まぎわのドイツ 語られない一ヶ月の生活、愛情。 隣人愛。一人一人の歴史。 したたかに生き抜いていくこと。 ユーモア。

Posted byブクログ

2016/03/06

2015年7月26日に開催されたビブリオバトルinいこまで発表された本です。テーマは「カレー」。チャンプ本!

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2016/01/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読み始めたときには本当にルポタージュの類かと思ってしまったほど。 ドイツ人庶民の心をつかむソウルフード(?)カレーソーセージの発祥はいつどこで、誰によるものか? 子供時代の思い出を頼りに主人公が屋台の主である高齢となった女性を探し当て、ゆっくりゆっくり当時の物語を聞き出す。 そこで語られる彼女の人生は台所の寒さが骨にしみ、頬をこする毛布の粗い布地を感じるほどに生々しい。 戦争は遠景ではなく夜毎の空襲にも怯えながら、いっぽうで権力の濫用が市民の間をも引き裂くような、しかし終わりはもう誰の目にも明らかな、そんな日々。 女をつくった夫を追い出し、息子は前線へ、娘は訓練で遠くへ住まう。 自身は軍部の食堂で働きながら、侘しいアパートの最上階でぎりぎりの生活を続けている。 そんな独り暮らしのなか、息子ほどにも若い若い脱走兵をかくまうことになった彼女の思わぬ日々。忘れられぬ日々。 引きこまれて一気に読みました。 いつかドイツに行って、カレーソーセージの屋台をはしごしてみよう、絶対そうしよう。 ラストの言葉遊びの仕掛けが訳者あとがきで丁寧に解説されてしまっているので、ネタバレを嫌う向きはあとがきを先に読まないことをおすすめします。 (どんな作品でもネタバレがお嫌いなら、同様ですけども)

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2014/11/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] それは終戦直前の一九四五年、敗色濃いナチス・ドイツのハンブルクで、ひとりの女性が若い脱走兵を家にかくまうことから始まった…。 味覚が人生を変える。 [ 目次 ] [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]

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2014/02/02

第二次世界大戦中に脱走兵を匿い僅かな期間を一緒に暮らしたレーナがカレーソーセージを『発明』するまでの話を主人公に語って聞かせる話。素朴で、貧しげで、それでも何やら美味しそうな食べ物に関する挿話が興味深かった。

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2011/12/11

主な語り手である彼と同様、ドイツで庶民の味として人気があるらしいカレーソーセージを最初に作ったのはだれか?に、興味津々ながらも、第二次世界大戦終了間近のドイツの、知り得もしなかった市民の暮らしや、もちろん、彼女の物語に惹きこまれる。 さり気なく語り手が代わるのだけど、あまりの自然...

主な語り手である彼と同様、ドイツで庶民の味として人気があるらしいカレーソーセージを最初に作ったのはだれか?に、興味津々ながらも、第二次世界大戦終了間近のドイツの、知り得もしなかった市民の暮らしや、もちろん、彼女の物語に惹きこまれる。 さり気なく語り手が代わるのだけど、あまりの自然さに気付いたときに驚かされる。 「偶然」とはなんだろうか。 この本を手に取ったのも偶然なのだけど。

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2009/10/07

カレーソーセージというのはドイツではよくある庶民的な屋台料理だそうです。 ソーセージをいくつかに切って炒め、ケチャップにカレー粉を混ぜて絡めたもの。 ブリュッカー夫人が作るシーンでは本当に美味しそう! 語り手が子供の頃、伯母と同じアパートに住んでいたレーナ・ブリュッカー。吹きさ...

カレーソーセージというのはドイツではよくある庶民的な屋台料理だそうです。 ソーセージをいくつかに切って炒め、ケチャップにカレー粉を混ぜて絡めたもの。 ブリュッカー夫人が作るシーンでは本当に美味しそう! 語り手が子供の頃、伯母と同じアパートに住んでいたレーナ・ブリュッカー。吹きさらしの屋台で手際よく作ってくれたカレーソーセージの味が忘れられず、老人ホームまで話を聞きに行きます。 事の起こりは第二次大戦末期、ハンブルク。 子供達も巣立ち、夫が出征したまま他の女性に走ったため、一人暮らしだったレーナは空襲の夜に出会った若い海軍兵曹ブレーマーが死地に赴くと知ってアパートに案内し、そのまま匿って同棲生活を始めます。 物のない時代に、工夫を凝らして蟹スープなどのご馳走に似せた料理をふるまうレーナ。 従軍した体験やカレーを初めて食べた思い出を語るブレーマー。 脱走兵は捕まれば銃殺なので、隠れているしかなくなったものの、まもなく連合軍が上陸。しかし、レーナは彼を引き留めたくて、それを言えない。 実は彼にも秘密があり… 複雑な状況がすんなりこちらの胸に飛び込んでくる書き方でテンポ良く読ませ、文句なしに充実した時間を過ごせました。 何よりも、たくましいおかみさんのレーナが魅力的。戦後の物々交換を上手くやってのけるあたりの展開も生き生きと描かれていて、すごく面白いのです。そして、思いがけない偶然から生まれるカレーソーセージ! 既に敗色の濃い時期にナチスへの密告をする近所の人もいる一方で、反骨精神のあるコックの行動なども傑作。 特殊な状況下でのはかない恋も納得のいく展開で、結末にほのぼのとした感慨を残す、味わい深い物語です。

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2009/10/07

カレーソーセージというファストフード誕生を巡る一人の女性の悲恋の物語。食べ物が人間に与える幸福と苦悩が、敗色濃いナチス・ドイツで脱走兵をかくまいつつ、不器用だがしたたかに日常を生きるレーナの人生と共に語られる。

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2009/10/04

北ドイツの方で、よく食べられている「カレーソーセージ」がどうやって生まれたかと、自称「カレーソーセージ」を発明した女性レーナの話を聞き書きしたもの、というスタイルの小説です。 終戦間近のハンブルク。そこに暮らしていた、一人暮らしの中年女性レーナが、若い水兵をかくまうことから話が始...

北ドイツの方で、よく食べられている「カレーソーセージ」がどうやって生まれたかと、自称「カレーソーセージ」を発明した女性レーナの話を聞き書きしたもの、というスタイルの小説です。 終戦間近のハンブルク。そこに暮らしていた、一人暮らしの中年女性レーナが、若い水兵をかくまうことから話が始まります。えー、全然カレーソーセージ関係ないじゃんという話の始まりから、進んでいく物語。終戦後のドイツ、という暗い時代でも、物語に暗さがないのは、レーナのたくましさがあるからかな。話に引き込まれるんですが、常に「カレーソーセージはいつ出てくるんだ」と頭の片隅に気になります。焦らされ系ね。食べ物の美味しそうな小説は、好きです。読んだ後に、その食べ物が食べたくなるようなやつね。

Posted byブクログ