輝く断片 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
全8篇の短篇はどれも奇妙な世界観と捉えきれなさに捉われるような不思議な余韻をもたらす。自分の好みでいえば、前半よりも後半に納められた作品の方が魅力的に感じた。いや、はっきり言うと、前半の作品では正直あまり面白みが分からなかったが、そこで止めずに最後まで読んでみて良かった。【以下ネタバレ含むため未読の方はご注意】それぞれのあらすじ+感想と5段階の個評(★=1、☆=0.5)を。『取り換え子』★★★厳格な叔母の遺産を目当てに赤ん坊を手に入れようとした若いカップルの前に、言葉を話す不思議な赤ん坊が現れ…。取り換え子の設定が奇抜。老女のカチンカチンの心を溶かした子供の魅力。一番ハートウォーミングな話。『ミドリザルとの情事』★☆ある夫婦が半殺しの目にあっている男を救助したが…。???オチが全く不明。ルーリオは女性だったってこと?『旅する巌』★★☆感動の名作を書いた作家の第2作目は最悪。エージェントの主人公が作家の家を訪ねると人格が豹変し粗暴な男がいた…。SFコメディ?『君微笑めば』★★★いつもニコニコしている幼馴染のヘンリーに街で偶然会った男。彼の笑顔の裏には…。意外な胸の内が明らかにされてちょっと唖然。ブラックだ。『ニュースの時間です』★★★☆新聞、TV、ラジオのニュースをこよなく愛する男がそれらを突然取り上げられてしまい、行方不明に…。喪失感を漂わせながら言葉も文字も分からなくなってしまったマクライルの隠遁生活場面ではやるせなくて泣きそうになった。そんな気分にさせておいてまさかのラスト。できれば違うオチの方がよかったなぁ。『マエストロを殺せ』★★★☆カリスマジャズプレイヤーに嫉妬する醜いMCのとった行動とは…。冒頭の三匹のピンク色のナメクジの正体は途中で気付くが、男の劣等感が狂気に変わり犯行を重ねていく語り口が絶妙。『ルウェリンの犯罪』★★★☆生まれてから「いい人」でしかなかった男。自分にだって悪いことができる!と行動に出るが…。何をやっても思うように上手くいかない様が哀れ。だが、実際には悪い事態にならないのだから上手くいってる、というところがちょっとコメディ風にも思える。『輝く断片』★★★★血まみれで歩道に倒れていた女を自宅に連れ帰った男。彼の目的は…。初めの方は男が何をしようとしているのか分からず不気味。やがて治療しているのだと解ったあたりでは、治療シーンの詳細な描写に気分が悪くなり飛ばし読み。だがあまりにも不器用で真面目な男の心の傷が明らかになるにつれ、これは美談で終わるのかとチラッと期待したが、ラストは見事に返された。ラストを飾るだけあって強烈なインパクトだ。
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まっとうな世界の無神経さになじめない繊細な僕らの話。 嫌いじゃないけど一気に読むと食傷するな。 信じられないくらいヘタな文章が混じってるのはわざとなのか訳者のセンスがないのかどちらなんだろう。今度別の訳で読み直そう。
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大森望編纂。8篇収録。 何といっても表題作が強烈。誰よりも優しく器用な手と愛に溢れた心をもちながら、その怪異な容貌から愛を受けとることも与えることもできないでいた男の孤独が悲しい。 やることなすこと、思惑から外れていってしまうのが、可笑しくもあり悲しくもある「ルウェリンの犯罪」も...
大森望編纂。8篇収録。 何といっても表題作が強烈。誰よりも優しく器用な手と愛に溢れた心をもちながら、その怪異な容貌から愛を受けとることも与えることもできないでいた男の孤独が悲しい。 やることなすこと、思惑から外れていってしまうのが、可笑しくもあり悲しくもある「ルウェリンの犯罪」も忘れ難い印象。秘密にしがみつきたいルウェリンの気持ちには共感する。 「マエストロを殺せ」は、音楽用語が訳のわからないことになっているし、邦題の選び方も含めて小笠原豊樹訳の方が断然良かった。“おいら”ではフルークの複雑さが半減してしまう気がする。 男の中の男に対する揶揄が楽しい「ミドリザルとの情事」。フリッツの妻アルマの最後の捨て台詞が効いている。それにしても大男のフリッツの前腕くらいの大きさって・・・いやはや。 ――Bright Segment and Other Stories by Theodore Sturgeon
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どれも良かったなぁー!「取り替え子」は笑っちゃいました。あんな赤子はイヤだよ…(笑)「ミドリザルとの情事」はいまいちオチがよく分かんなくて、「たぶんこういうことなんだろなぁ」と思うんだけど、なんか消化不良で終わっちゃって、残念すぎる…「旅する巌」も好きだなぁ。‘究極兵器’という言...
どれも良かったなぁー!「取り替え子」は笑っちゃいました。あんな赤子はイヤだよ…(笑)「ミドリザルとの情事」はいまいちオチがよく分かんなくて、「たぶんこういうことなんだろなぁ」と思うんだけど、なんか消化不良で終わっちゃって、残念すぎる…「旅する巌」も好きだなぁ。‘究極兵器’という言葉に対する思い込みをひっくり返されましたなぁ。「マエストロを殺せ」「ルウェリンの犯罪」「輝く断片」は、哀しさが漂っていたなぁ…
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少し風変わりな短編集。 SFとも少し違うし、そんなに怪奇ものでもない。 でも、驚かされるのが この小説が書かれたのが50-60年代だということ。 最近、復刻って感じで翻訳され 新しく出版されたものらしい。 が、まったく違和感なく読める。 それだけ、時代を先取りし...
少し風変わりな短編集。 SFとも少し違うし、そんなに怪奇ものでもない。 でも、驚かされるのが この小説が書かれたのが50-60年代だということ。 最近、復刻って感じで翻訳され 新しく出版されたものらしい。 が、まったく違和感なく読める。 それだけ、時代を先取りしていたのか。 みたいな。。 読んで損なし。
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うーん、このシリーズのスタージョンの前作「不思議のひと触れ」の方が、まとまりよかったかもしれないなぁ。 今回のは「何ですかソレハ」っつー妙ちくりんな駄作スレスレのもあるんで、それすら彼の余裕(もしくは遊び)と思えないと厳しいかもしれん。
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この作家の作品に触れるのは今短編集が初めてなのだが、何話か読み終えた時点で気がついた。読後感に独特の癖があるのだ。鮮明さと曖昧さが何度もシンクロする文体が体温にも似た波を生み出し、各作品お約束のように珍妙なクライマックスを迎える。思わず膝を打ってしまうような展開があるわけではない...
この作家の作品に触れるのは今短編集が初めてなのだが、何話か読み終えた時点で気がついた。読後感に独特の癖があるのだ。鮮明さと曖昧さが何度もシンクロする文体が体温にも似た波を生み出し、各作品お約束のように珍妙なクライマックスを迎える。思わず膝を打ってしまうような展開があるわけではない。けれども凡俗ではない後味なのである。 興味が湧いてきたので、別作品も読んでみようと思う。
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できれば評価したくない。なぜなら、本作品は私にとっての「ミステリ」ではないからだ。そう断定した直後から、読書=忍耐に変わり、あとは事務的にページを繰るだけだった。『取り替え子』『ミドリザルとの情事』が評価5。バラエティに富んだ作品を期待していたが、読めば読むほどつまらなくなってい...
できれば評価したくない。なぜなら、本作品は私にとっての「ミステリ」ではないからだ。そう断定した直後から、読書=忍耐に変わり、あとは事務的にページを繰るだけだった。『取り替え子』『ミドリザルとの情事』が評価5。バラエティに富んだ作品を期待していたが、読めば読むほどつまらなくなっていった。後半の作品は、大まかな部分ですべてワンパターン。各話を読み終えても、「だからどうした?」といった感じで、なんの余韻も感情も涌いてこない。キャラや心理描写等に感情移入できるできない以前の問題で、話そのものが頭の中に入ってこない。よって、読了と同時に記憶の隅っこに押しやられてしまった。世間の評価は高いようだけれども、私は「ミステリ」を読みたいのである。
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奇想コレクションの新刊! スタージョン第2弾! 『不思議なひと触れ』が様々なジャンルの作品だったのに対して、 こちらはミステリ(というか非SF)作品の短篇集。 今回の表紙は、今迄で一番好きかも。 収録作品 ・『取り替え子』Brat ショーティとマイクル若いカップル。 シ...
奇想コレクションの新刊! スタージョン第2弾! 『不思議なひと触れ』が様々なジャンルの作品だったのに対して、 こちらはミステリ(というか非SF)作品の短篇集。 今回の表紙は、今迄で一番好きかも。 収録作品 ・『取り替え子』Brat ショーティとマイクル若いカップル。 ショーティの伯母は、遺産を残す条件として、子供をちゃんと育てられる人間と条件を付けてきた。 しかし二人に子供はいない。 ある日、川で拾った赤ん坊は、口の悪い取り替え子だった! 彼は二人に協力してやる、と叔母さんの屋敷に向かう。 ・『ミドリザルとの情事』Affair with a Green Monkey アルマとフリッツの夫婦は暴漢に襲われていた男を助ける。 フリッツは彼をゲイと決めつけ、男らしく振る舞う方法を教えるが…… これ、イマイチ理解できない。 唐突だし、ラストがエロネタなのは判るんだけど…… ・『旅する巌』The Traveling Crag エージェントのが手に入れたクリスの小説は、あらゆる者が感動する傑作だった。 第2作も書いてもらおうとするが、彼は小説からは想像もできないような人格破綻者。 ある日、性格が豹変してしまった人間を捜している女性と出会う。 彼女の話によると…… これはあんまり面白くなかった。 ・『君微笑めば』When You're Smiling 傲慢な有能な記者。 彼は無数の未解決事件の中から、共通点を発見する。 ある日、子供の友人ヘンリーと出会う。 彼はいつもにこにこしてて、あまり頭の巡りがよくない。 彼なら大丈夫と、自分の発見した事実を語り出す。 これも実は、イマイチ飲み込めてない。 本当の能力者なのか、それともサイコさんなのか? ・『ニュースの時間です』And Now the News... ニュースが大好きな男。 我慢できなくなった妻は、テレビやラジオの真空管を外してしまう。 家でニュースが聞けなくなってしまい、彼は家を飛び出してしまう。 SFマガジンで読んだときもぶっ飛んだけど、再読してもやはり凄い。 予想の斜め向こうに飛んでいく展開は、是非読んで欲しい。 ちなみに、ハインラインがネタを提供して書いたとか。 ・『マエストロを殺せ』Die, Maestro, Die! バンドのMC担当のフルーク。 彼は、万能で性格もいいリーダーのラッチの存在がどうしても許せなくなり、 策を巡らして殺し、死体を沈めてしまう。 残されたメンバーは、彼がいつ帰ってきてもいいように演奏を続けるが、 その音楽の中にはいまだにラッチが生き続けており、 なんとかしてラッチを本当に殺そうと考える。 ラッチを殺そうと、狂気に陥るフルーク。 その底流には常に音楽が流れている…… 『ぶわん、ばっ!』と同じように、曲が聞こえてきそうな短篇。 ・『ルウェリンの犯罪』A Crime for Llewellyn 悪いことはしたことはなく、考えたこともない男、ルウェリン。 彼は19年間、アイヴィと言う女性と暮らしている。 ある日、彼女から打ち明けられた秘密により、彼の中で何かが壊れはじめる…… 状況的には孤独でないのに、何か一人きりという感覚を覚える作品 ・『輝く断片』Bright Segment 雨の中、血まみれで倒れている女を見つけた男。 家に連れ帰り、看病する。 友達も生きがいもなかった彼だが、 彼女の世話をすることにより、人生の目標を感じるのだが…… 『孤独の円盤』『不思議なひと触れ』と同じものを求めながら、 まるで違う方向に進んでいってしまう、胸に詰まるような悲しい物語。 後半の4作品は、本当に面白かった。 個人的には、特に『ニュースの時間です』と『輝く断片』がオススメ。 スタージョンは、仲間がいないのは寂しい、という感覚を描くのが本当に上手いと思う。
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