石の思い出 の商品レビュー
帯に「鉱物エッセイ」と書いてある。鉱物学者による鉱物゠石にまつわる思い出話である。 訳者あとがきによれば、著者は、1883年にロシアに生まれた著名な鉱物学者とのこと。その名を冠した鉱物博物館もあり、街の名前、山の名前にもなっているそうだ。 フェルスマンは中年の頃にロシア革命を経...
帯に「鉱物エッセイ」と書いてある。鉱物学者による鉱物゠石にまつわる思い出話である。 訳者あとがきによれば、著者は、1883年にロシアに生まれた著名な鉱物学者とのこと。その名を冠した鉱物博物館もあり、街の名前、山の名前にもなっているそうだ。 フェルスマンは中年の頃にロシア革命を経験し、働き盛りには鉱物資源開発によってソビエト連邦の鉱工業の発展に寄与したことになる。 そうした時代の影がこの本にも読み取れる。たとえば、科学アカデミーによる裏イマンドラ高地方面の学術探査に漂う使命感(「第九章 モンチャ」)、科学技術への楽天的な信頼(「第十一章 三つの大理石」)、社会のために働いた英雄的な個人への賞賛や、新しい社会、未来の称揚(「第十九章 石にたずさわる人々」)などなど。 この、時代の波頭を越えた上方で、石に魅入られた人の、何か忘れ物をしたような哀愁を漂わせる懐旧譚が語られている。 しかし、「珠玉」とかいう形容詞はあまり当らないだろう。鉱物学者による石にまつわるエッセイという珍しさが取り柄か。それでも、鉱物採集にまつわる恐ろしい話(「第五章 カラダーク火山で」)、宝石にまつわる人の心の話(「第十八章 二つの値打ち」)などはちょっと面白い。
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ロシアの鉱物学者の伝記的エッセイ。 鉱物に魅せられた少年のころの事や、パートナーと出かけた鉱物を訪ねる旅など。 添えられた写真の鉱物たちが、とても美しい。
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