魔法 の商品レビュー
英国と南仏を舞台に、…
英国と南仏を舞台に、自由自在に姿を消せる魔法の力に恵まれた男女3人の奇妙で複雑な関係を描く奇想小説。ロマンティックな味わいの第一級のエンターテインメント作品。文句なしに面白いです。
文庫OFF
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魔法 爆弾事件の被害者になった元ビデオカメラマンの主人公は、短期記憶を喪失していたが、そこに元恋人だった女性が現れて。 間違って再構築されてしまう主人公の記憶に、元恋人の視点からの記憶。そして最後に元恋人と同じ不可視の世界の住人の記憶。 異なった視点から物語られる一つの物語。 結構複雑な構成で、老人力が付いた頭ではなかなかついていけませんでした。 SFが読みたい!2005年度版で選ばれた「奇術師」の方がもう少し単純なようなので、そちらにあたってみることにします。 竹蔵
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著者のクリストファー・プリーストは「逆転世界」で世界の基盤をひっくり返す衝撃力に驚いた特別な作家だけに、「自在に姿を消せる魔法の力に恵まれた男女3人の奇妙複雑な関係」?に若干の不安を抱きつつ読んでみる。原題のTHE GLAMOURは魅力という意味で訳されるのですが、元々は魔法や呪...
著者のクリストファー・プリーストは「逆転世界」で世界の基盤をひっくり返す衝撃力に驚いた特別な作家だけに、「自在に姿を消せる魔法の力に恵まれた男女3人の奇妙複雑な関係」?に若干の不安を抱きつつ読んでみる。原題のTHE GLAMOURは魅力という意味で訳されるのですが、元々は魔法や呪文という意味だそうな。この深い意味を表す言葉によるすれ違いや、誤解を生じさせながら、爆弾テロによって記憶を失った主人公が記憶をたどるサスペンス小説かと思いきや、わかりやすいSFになるのか?を経由してその手を使う!?になります。不思議感満載のファンタジックな男女関係。信じてもらうって難しい。往年のハードなSFからは離れてしまった感じでしょうか?
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プリーストのPBを読もうと思ったが、文庫の未読本があったので先に。 グラマーは英文法の魔法なんだなぁ
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5/20 読了。 すべてのエンターテイメントには、今見ている/聞いている/読んでいるものは現実ではないと、提供する側もされる側も分かっていながらそれを一旦受け入れ、そのうえで<まるで信じているかのように>幻想を楽しむ、という大前提がある。不信という前提があるから安心して楽しみに身...
5/20 読了。 すべてのエンターテイメントには、今見ている/聞いている/読んでいるものは現実ではないと、提供する側もされる側も分かっていながらそれを一旦受け入れ、そのうえで<まるで信じているかのように>幻想を楽しむ、という大前提がある。不信という前提があるから安心して楽しみに身を委ねることができるのだ。プリーストは、その黙認契約を中心テーマに据えて物語るスペシャリストである。「奇術師」ではこの<エンターテイメントの大前提>を早々と登場人物に語らせ、手の内を晒しながらもトリックを仕掛けるというまさにタイトル通り奇術のような語り口をとっていた。「奇術師」より先に書かれた本作では、<エンターテイメントの大前提>が中心テーマであることは終盤までの隠されている。読者は物語内リアリティを巡る問題に翻弄され続けた結果、遂に謎を解き窃視愛好者を断罪するつもりが自らが他ならぬ窃視愛好者であることを発見させられるのである。エンターテイメントにおける観客とは物語に参与することなく一方的に<見る>者であるが、その<見る>者が無意識的に<見られる>者に対して行使してしまう生殺与奪権の恐ろしさを体感させてくれる傑作。 ラストがあまりにも周到かつ巧妙なので、なるほどねー!と早合点してしまうのだが、スーザン視点の中盤とかめちゃくちゃ変な話w なんでこんなこと思いつくんだろう。「奇術師」の方がエンタメ性は高いけど、その代わり仕掛けも早い段階で分かってしまい(わざとだろうが)あまり上手くないなぁと思っていたら、本作は断片的な情報の出し方や話し手の人称の切り替え方などとてもスマート。なのに変な話具合では断然「魔法」の方が上なので、遅ればせながらプリースト恐るべし、と思わされた。
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読み終わりにかけて雲行きが怪しくなり、最後数ページは常時頭に?が浮かんでた。 映画プレステージを面白いと思って筆者の小説に手を出したけど、期待してたSFミステリとは違ってて正直戸惑った。
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再読したら、解釈や感想も異なるのかもしれない。 これまたネタバレさせずに感想を書いたり、 あっさりとした最終章と、 語り手を明確にしないため書き直したという そのひとつ前の章により、ネタバレさせず 自分自身の解釈を書くのも難しい。 がっかりする人もいるだろうが、のめりこんでいき ...
再読したら、解釈や感想も異なるのかもしれない。 これまたネタバレさせずに感想を書いたり、 あっさりとした最終章と、 語り手を明確にしないため書き直したという そのひとつ前の章により、ネタバレさせず 自分自身の解釈を書くのも難しい。 がっかりする人もいるだろうが、のめりこんでいき やられたと思う人もいると思う。 「双生児」を読んだ後だけに、 記憶の食い違いから平行世界の話しかな? と疑わせながら、見えないがそこにいる、 どこにでも現れるナイオールとははたして何者か、 そしてどういう結末が待っているのか、 と思い読めていったが、これまた鮮やかなラスト。 純文学的アプローチでI.マキューアン『贖罪』、 (厳密には異なるが、騙しの面で) サスペンス、サイコスリラー的アプローチで P.ルメートル『悲しみのイレーヌ』あり、 ある者が持つ絶対的な力とそれを目にする第三者 そして登場人物の関係をSF,FTの舞台で表現すると、 こうなるのではないかと。 登場人物が映画に対する考察で触れているのも そういうことなのかも。
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記憶をなくしたカメラマン。恋人を語る女。彼女は元恋人との問題を抱えていた。とてもグラマラス(魅力的)な男。
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超能力ものという情報で読み始めたけど前半は恋愛ミステリ的で、あれ?と思っていたら後半は異能者の話になっていった。 爆弾テロに巻き込まれ記憶を無くしたグレイ。 療養中の彼のもとに、かつて恋人だったというスーザンが現れる。 記憶の中で欠けている期間に交際していたのかとグレイは半信半...
超能力ものという情報で読み始めたけど前半は恋愛ミステリ的で、あれ?と思っていたら後半は異能者の話になっていった。 爆弾テロに巻き込まれ記憶を無くしたグレイ。 療養中の彼のもとに、かつて恋人だったというスーザンが現れる。 記憶の中で欠けている期間に交際していたのかとグレイは半信半疑だったが、思わせぶりな言動を取るスーザンに惹かれていく。 記憶を取り戻すため、グレイは催眠療法を受ける。 ここで章が変わり、時間を遡ってグレイ目線でスーザンとの出会いからの日々が語られる。 幸せなカップルだった頃を思い出したグレイだが、スーザンはその記憶は真実ではないと語る。 スーザン目線で明かされるグレイとの関係は、グレイ自身の記憶(前章で語られた内容)とは全く異なるものだった。 スーザンが語る真実にグレイは混乱し、ふたりの記憶のズレをすりあわせて行くところで物語は佳境へ。 最後の最後まで面白かったのだが、正直オチがよくわからなかった。 これはメタフィクションなのか? 長い物語で、グレイの回想あたり、ここは必要か?と思うほど長い旅の描写などダレる部分もあったのだが、 スーザンの特殊能力の話が出てからは一気に面白くなった。 ”人に見えない”という能力の定義、それを活用したエピソードが新しくて巧妙。 そしてスーザンの恋人であるナイオールが恐ろしく、人間ドラマとしてもよく出来ていた。 終盤まで、何が真実がわからずどんな種明かしがあるのか期待したのだが、その分結末には肩透かし感が。 そこだけが残念。
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