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紀貫之 の商品レビュー

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2011/09/26

今、読み終わった満足感に浸りながら、この感想を書いている。紀貫之というと、古今和歌集の撰者で、そこそこ身分が高い人だろう、と素人考えで思ってしまいがちだ。私もそうだった(苦笑)。しかし、史料に書かれていることをちゃんと読むと全然違う。彼は受領であり、高貴な人に仕える家人なのだ。紀...

今、読み終わった満足感に浸りながら、この感想を書いている。紀貫之というと、古今和歌集の撰者で、そこそこ身分が高い人だろう、と素人考えで思ってしまいがちだ。私もそうだった(苦笑)。しかし、史料に書かれていることをちゃんと読むと全然違う。彼は受領であり、高貴な人に仕える家人なのだ。紀氏という古くからある有力な豪族に連なる家に生まれたものの、藤原氏の天下では栄達はあまり望めない。一方、彼の和歌に対する才能たるや、偉才である、非凡である。それが周りの人々との和歌を通してのやりとりから彼の実像として浮かび上がってくる。まるで、ミステリー小説を読んでいるようだ。書いてあることを「きちんと」読む。その誠心誠意に心打たれ、素人の赤っ恥をただただ恥じる。

Posted byブクログ