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大津絵 の商品レビュー

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2012/07/28

大津絵は大津に古くからある素朴な民俗画。 ちょっとユーモラスな鬼の絵などがよく知られる。 大津絵を初めて見たのは、3年前から習っているお茶のお稽古の席。節分の頃、「鬼の念仏」の軸が掛かっていた。素朴でほっこりした感じの絵だ。怖いはずの鬼だが、お茶目でユーモラスなのが印象的だった...

大津絵は大津に古くからある素朴な民俗画。 ちょっとユーモラスな鬼の絵などがよく知られる。 大津絵を初めて見たのは、3年前から習っているお茶のお稽古の席。節分の頃、「鬼の念仏」の軸が掛かっていた。素朴でほっこりした感じの絵だ。怖いはずの鬼だが、お茶目でユーモラスなのが印象的だった。 先日、大津の三井寺に行く機会があったり、また大津絵を好んだ洋画家の番組をテレビで見たりして、ちょっとまとめて見てみようと図書館で借りてきた。 黒いはっきりした輪郭線。単純化された図案。 仏様の絵などは飾って拝む対象となったりしたようだ。 東海道を旅する人々のみやげ物や護符としてもよく買われた物らしい。 民衆の諷刺や諧謔が表れたものもあって興味深い。後期になるとちょっと説教臭い道歌なんかが付いたりする。前出の「鬼の念仏」も、ただユーモラスなわけではなく、「真なき姿ばかりは墨染めの 心はおににあらわれにけり」(形ばかり僧衣をまとっていても心に誠がなくて鬼のようではだめなのだ、というような意味か)と道歌が添えられていたりする。似た図案に「鬼の行水」というのがあって、こちらは「うわ皮をあらいみがきてこころをば あらわぬ人のすがたなりけり」。ふぅん。滑稽で親しみやすいと思って見る方が個人的には好みであるが。 本書は日本民藝館所蔵のものを収録している。大津絵の研究者としてはこの館の創設者でもある柳宗悦が第一人者だったのだそうで、本書の各図版に付けられた解説も、宗悦の手になるものである。英訳も付いていて、英語ネイティブの人が購入してもよい作り。 ただ、本書は絵の紹介の方に重点が置かれていて、大津絵そのものの解説はまとまったものではない。そちらに関しては挙げられている参考書を見よ、という感じだ。 いろいろな大津絵が見られておもしろかったけど、素人としては、大津絵十種が何である、という程度の解説は欲しかったなぁ・・・と思う。 *17の達磨大師、45の女虚無僧、63の為朝、82の鬼の行水、96の塔、111の梅に鶯(梅がくるくるした線で描かれていてデザインぽい)あたりが印象深かった。

Posted byブクログ