協働型議会の構想 の商品レビュー
本書は、地方議会改革を超えてローカル・ガバナンスの形成・創造にあたって地方議会を重要なアクターとして位置づけることを課題としている。そして、地方議会は、監視・政策立案機能とともに、住民に開かれ住民とともに考え行動するアクティブ機能を発揮しなければならないという理念のもと、監視機能...
本書は、地方議会改革を超えてローカル・ガバナンスの形成・創造にあたって地方議会を重要なアクターとして位置づけることを課題としている。そして、地方議会は、監視・政策立案機能とともに、住民に開かれ住民とともに考え行動するアクティブ機能を発揮しなければならないという理念のもと、監視機能や政策立案機能を有する議会を「監視型議会」、またアクティブ機能を有する議会を「アクティブ型議会」と呼び、両者をあわせ持っている議会を「協働型議会」と名づけ、「協働型議会」が求められる背景やその具体的内容、それに向けた議会改革の課題、その射程等について論じている。 「協働型議会」は、地方議会の在り方の一つの理念型として検討される意義はあると感じたが、全体的に論調が理想主義に過ぎ、「住民参加」を過度に評価しているきらいがあるように感じた。 会議の公開やパブリックコメントのような形で、議会が住民に「開かれている」ことは重要だと考えるが、積極的に住民を議会に巻き込むことが果たして必要なのかについては疑念が残る。それぞれに多様な民意を集約する各議員が政策審議・決定のプロとして討議することに議会の意味があるのではないか。議会の公開やパブリックコメント等を超えて、民意を代表するという正統性に乏しい一部の住民が議会での議論に介入することは、代議制民主主義の意義を損ねる可能性を孕んでいるのではないかと思う。 一方で、住民投票が、むしろ議会を活性化させる側面を持つといった指摘は参考になった。
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