教科書の使い方を変え子どもに力をつける の商品レビュー
教材開発MLに本シリーズを投稿した際に、古川光弘先生からご教示いただいた本である。学力低下、内容削減という状況で注目を浴びた「教科書」についての有田理論がまとめられている。教科書を執筆される立場、教科書のない総合学習により教材開発を進めてきたという、双方のものをもっている有田先生...
教材開発MLに本シリーズを投稿した際に、古川光弘先生からご教示いただいた本である。学力低下、内容削減という状況で注目を浴びた「教科書」についての有田理論がまとめられている。教科書を執筆される立場、教科書のない総合学習により教材開発を進めてきたという、双方のものをもっている有田先生だからこその主張……説得力、考えさせられるところが多い。 ① 「教科書を教える」ことに徹する まえがきからこのことが記されている。「教科書の使い方を変え」るとは、まさにこの「教科書を教える」ということである。有田先生は教科書を使って「子どもたちがその内容を『追究したい』『調べたい』といったものに転化すること」であるという。そのためには、教科書研究が必要である。その方法として、有田先生は次のようにいう。 ・内容を完全に自分のものにする……最低30回は読む。しるしをつけながら読む。 ・教科書が真っ黒になるまで書き込む。資料を貼りつける。 ・複数の教科書を検討する。 これによって、教科書のキーワードを読み取ることができ、授業のねらいが鮮明になるのである。 ② 「子どものために」 「わたしどもの活動は、すべて『子どものためになるか?』ということが、判断基準にならねばならない」と有田先生は書いている。そして「子どものため」の教育とは、どのようなものなのか……次のようにある。 ・その単元の一番おもしろいところから導入すべきである……授業はスイカである。 ・わかりやすくするモノ・絵・資料を、普段から探しておく ・子どもに手間・ひまをかけさせ、活動させること……「判断できる子」を育てるには、判断しなければならない場面をより多く設定することだ。「考える子」を育てるには、考えなくてはならない場面を設定すればよいのである。そういう場に追い込むことである。 ③ 「鍛える」ことを忘れてはならない 「教科書には、子どもを『鍛える』という面が大いに欠けている。遊びの面が強調し過ぎている」と有田先生も危惧している。ここに注意して教科書研究をすすめる必要がある。「本質的な追究」のできる指導のひとつとして、ゲーム的要素があるのだ。「適量」が効果的な指導になるのであり、それには「教師の考えが、ものをいう」ことになる。 「将来、魅力ある人物になることを信じて」の話も感動した。将来性を信じて、今手をぬいてはならないという有田先生の思いから学ぶことができた。
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