青木繁『海の幸』(第3冊) の商品レビュー
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彼の遺した画業でいえば、「黄泉比良坂」の幻想性や、世紀末を漂わせる画風の「狂女」も佳いが、「海の幸」は構図といい筆致といい群を抜いて佳い。当時の画壇を先導した黒田清輝などの画を脇に置いてみれば、その斬新さからくる衝撃は計り知れないものがあるだろう。白馬会第9回展において、裸体画ゆえに特別室に展示されたというこの作品に、画壇の人々は感嘆の声を挙げつつ賛否両論沸騰したという。 この絵を見て衝き動かされた若き詩人蒲原有明は「海の幸」と題するオマージュを捧げているが、有明はこの詩を生涯にわたり三度も改作するという執心ぶりを示しているのも愉しい。 「海の幸」青木繁画 ――蒲原有明 ただ見る、青とはた金の深き調和。 -きほへる力はここに潮と湧き、不壊なるものの跫音-あのと-は天に伝へ、 互-かたみ-に調べあやなし、響き交はす。-後略-
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