バルト海のほとりにて の商品レビュー
第二次大戦中、ナチスドイツからユダヤ人を守ろうと必死なっていた杉原千畝がその時見ていたリトアニアからのバルト海を、日本の崩壊を防ぐべく必死に諜報活動し、正確な情報を大本営に送り続けた駐在武官もラトビア、そしてスウェーデンからその海を見ていた。彼の正確な情報は最後まで取り上げられる...
第二次大戦中、ナチスドイツからユダヤ人を守ろうと必死なっていた杉原千畝がその時見ていたリトアニアからのバルト海を、日本の崩壊を防ぐべく必死に諜報活動し、正確な情報を大本営に送り続けた駐在武官もラトビア、そしてスウェーデンからその海を見ていた。彼の正確な情報は最後まで取り上げられることはなかった。その武官の名は小野寺陸軍少将である。 対支那工作(この時点では中国という国は存在していない)、ドイツのソ連侵略、ドイツの対英戦衰退、三国同盟の危険、対米戦反対、ヤルタ会談の密約(ソ連の対日開戦)、大東亜戦争の終結工作(スウェーデン王室)など、歴史にこれらの1つでも「もし」があったなら、現在の日本は大きく変わったものになっていたことだろう。 しかし、米英親和派として日本から遠く離されていた彼の情報は、最初から意図的に無視され続ける運命にあった。もし、彼が軍部の中枢にあり、同じ情報を上げたなら、その命は即刻絶たれていたことであろう。中立国スウェーデンという遠く離れた地であったからこそ、存在しえた人ではなかったかと思えてならない。したがって、終戦直後及びそのあとの帰国までの状況は非常に恵まれたものといえるであろう。夫の無念さを思う妻の気持ちは分からなくはないが、そんな状況であるから、「あとがき」のある『一片の木片』が『木片』として存在することができたのではと。
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主観的な回想の列挙としか受け取れず、真相というにはどうかな?と感じてしまう。小説「ストックホルムの密使」のフィクション部分の確認作業以上の意義を見出せないまま読了。
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第二次大戦下の中立国スウェーデンに赴任した小野寺夫妻の孤軍奮闘の記録。 駐スウェーデン公使館付武官の小野寺信は ドイツの敗色をいち早く察知し、 中央に戦争を回避するよう何度も極秘の電報を打つが、 まったく聞き入れてもらえない。 日米が開戦した後は武官としての任務をまっ...
第二次大戦下の中立国スウェーデンに赴任した小野寺夫妻の孤軍奮闘の記録。 駐スウェーデン公使館付武官の小野寺信は ドイツの敗色をいち早く察知し、 中央に戦争を回避するよう何度も極秘の電報を打つが、 まったく聞き入れてもらえない。 日米が開戦した後は武官としての任務をまっとうしながらも 和平の道を探っていく・・・ 著者は武官女房として夫が集めた機密情報を 暗号化して中央に打電し続けた小野寺信の妻。 小野寺の集めるヨーロッパ・ソ連の情報を高く評価しながらも、 ドイツ敗色濃しの情報だけは頑なに信用しない中央と、 日本の敗色が明らかになっても、 日本の駐在武官をあたたかく優しく支える 中立国スウェーデンの人々の対比がおもしろい。 著者はムーミン・シリーズの訳者だけあって 殺伐とした内容でありながら、 文章はわかりやすくあたたかい。 夕暮れの長い夏のスウェーデンの描写は まるでおとぎの国のように美しい。 あの時代に、まっとうに生きた武官夫妻の貴重な記録である。
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