ハイドゥナン(下) の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
どうしても「日本沈没」との比較で語ることになってしまうが、シミュレーション小説の側面を強く持っていた「日本沈没」に対して、本作はよりSF的アイデアを前面に押し出している。ただ、そのアイデアへのアプローチ方法は多分に小松左京的でもあるのだ。 「日本沈没」は、当時最先端の学説であったプレートテクトニクス理論を大胆に取り入れて日本が沈むメカニズムを説明した。そのくだりはまるで研究論文のようだと言われたものだが、本作では実際の科学理論に加えてSF的なアイデアも大量に持ち込んだ。それでいて考証は小松左京ばりに科学的で緻密を極めるという離れ技を見せているのだ。聞けば著者は科学雑誌の編集者や記者をやっていたという、根っから科学畑の人なのである。ヒロインの特殊能力もロジックがしっかりしているので、もしかしたらと思わせてくれる。「ラストはやっぱりそこに戻るのか・・・」とは思うが、2000枚を超える超大作、良くも悪しくもSFの醍醐味を充分に堪能させてくれるのは間違いない。
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●最初の一章が済んだあたりから高速読解決定。なので、読み落とした部分はけっこうあると思います。 ●話はとりわけ破綻してる風でもないし、アイデアも大きめだし、別に何が悪いわけでもないんでしょうが、あえて言うならキャラが暗い。(←あっ言った。) いまどきそんな後ろ向きヒロインてどうな...
●最初の一章が済んだあたりから高速読解決定。なので、読み落とした部分はけっこうあると思います。 ●話はとりわけ破綻してる風でもないし、アイデアも大きめだし、別に何が悪いわけでもないんでしょうが、あえて言うならキャラが暗い。(←あっ言った。) いまどきそんな後ろ向きヒロインてどうなんだ。(←あっまた言った。) こう言う地異転変+オカルト破滅系大型SFと言えば、柴田よしきの『炎都』を連想するんですが、あれはヒロインがヘルメットかぶって走り回るような話だったような気がする。 おなじく沖縄舞台でむちゃくちゃSFをかました『レキオス』は、超絶エロティカセブンな天才変態科学者オルレンショー博士が亀甲縛りでラ・ペルラに勝つ話だったような気がする。(←その比較に意味があるのか?) そう言うキャラ達が大活躍する作品にくらべると、どうにもアホウな体質の私は、暗め重めでお笑い度が限りなく0%なキャラ立ちに物足りなさを感じてしまうのでした。 言い方を変えれば、昨今の荒唐無稽な軽い乗りの作品とは一線を画すスケールの大きい重厚な大型SFだと言うことですね。 ●伝統的国産大型SF作品。お好みで。
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