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家族で支える摂食障害 の商品レビュー

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2010/09/13

本書は、摂食障害当事者とその家族に具体的な道筋を示し、希望を与えてくれるものである。 摂食障害は確かに病気であり、意志の強さだけでやめられるものではない。また、摂食障害のある人に特徴的にみられるコミュニケーションの問題などについても、本人の自覚や性格の問題とかたづけられがち(...

本書は、摂食障害当事者とその家族に具体的な道筋を示し、希望を与えてくれるものである。 摂食障害は確かに病気であり、意志の強さだけでやめられるものではない。また、摂食障害のある人に特徴的にみられるコミュニケーションの問題などについても、本人の自覚や性格の問題とかたづけられがち(とはいえ、そのような捉え方ではまったく救われないのだが)であるのだが、「摂食障害という病気がそうさせているのだ」と理解することで、周囲の捉え方にも余裕ができてくると、著者らは述べている。 こうしたアプローチは摂食障害のようなアディクション障害のみならず、精神障害全般に通ずるものがあると考える。当事者も家族も、「症状の消失」を目指すような無理をせず、「精神の安定」を目的とした生活をすると考えれば、かなり日常のハードルは下がる。 断定的な書き方をしていない点も押し付けがましくなく、とても好感が持てる。精神疾患を抱えた当事者と家族は、とにかく藁にもすがる思いで何らかの救いを求め続けている。そういう中にあっては、「こうすれば治る」あるいは「こうしなければ治らない」といった説明で自論を押し付けるようなグループにも信者のようになってついていってしまう恐れがある。もちろん良い結果が得られればそれも当事者にとっての良い方法だったとも言えるが、多くはそうならないであろう。 本書のようなアプローチが広く認識されることを願うばかりである。

Posted byブクログ