人間の終焉 の商品レビュー
ー ニワトリの場合と同じように、子どもに生涯を通して一定の行動をとらせるようなタンパク質を生産する遺伝子を導入するだけですむ。子どものあなたは、そのタンパク質生産にはさからえない。できるかぎりがんばって親の希望をくじくことはできるが、そのあいだにもタンパク質は休みなく送りだされて...
ー ニワトリの場合と同じように、子どもに生涯を通して一定の行動をとらせるようなタンパク質を生産する遺伝子を導入するだけですむ。子どものあなたは、そのタンパク質生産にはさからえない。できるかぎりがんばって親の希望をくじくことはできるが、そのあいだにもタンパク質は休みなく送りだされて、あなたという人間を規定する。たとえあなたがどんなに望んでも、羽毛を生やすことはできない。それにたぶん親たちはあなたの気分も操作できるだろうから、あなたは羽毛が欠けていることに気づきさえしないだろう。 そうした子どもは実質的に、プログラムの設定者から目標をあてがわれることになる。「知能」、「穏やかな気質」、「運動能力」などである(ニワトリの場合と同じように、市場は効率を求める方向に傾くだろうから、夢想にふけるようになる遺伝子が発見されるのはむずかしいかもしれない)。 さてここで二つの可能性が生じる。一つは、プログラムがうまくいかずに、綴りが憶えられない子どもや、むら気な子どもや、内角の速球が打てない子どもができる可能性だ。今日の世界では、親は、この子はそういう子だと自分に言い聞かせる。しかしその未来の世界では、彼はつまるところ欠陥製品である。あなたはそれでも彼を無条件に受け入れるだろうか?なぜ?新しく買ったジェッタが、ガロンあたり40マイル走るはずなのに30マイルしか走らなかったら、あなたはそれを返品するだろう。必要なら訴えるだろうし、欠陥車だと言うだろう。あるいは、 遺伝子操作そのものはとてもうまくいったが、あなたがパッケージの選択を誤ったために、 結果がベストではなかったとしたら?隣の息子のほうがすぐれた音感や強い肩をもっていたら、購入者としての後悔を感じないだろうか? ー 20年前の作品。 行き過ぎた科学技術に対して「もう十分だ」と論じる作品。特に生殖系列遺伝子操作がテーマになっている。 宗教的な反科学・反技術ではなく、あくまでロジカルな論考。 今でも十分に読み応えがあり、面白い作品だったなぁ〜。
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いかせん、苦手な理系のお話。 遺伝子とか出てくるともうわからん。 そのため斜め読みだったが、結論としては、人間よ歩みを止めなさいということだろう。 行き過ぎはよくない。
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数世紀後の世界で人類が手にするであろう科学技術が凄すぎる。映像として描く未来をことごとく実体化してきた人類なのだから、ここに書かれていることが不可能であるとは思えない。すでに人類は神にでもなったような有様である。夢を全て実現できるサイエンステクノロジーは果たして人類を幸福にするの...
数世紀後の世界で人類が手にするであろう科学技術が凄すぎる。映像として描く未来をことごとく実体化してきた人類なのだから、ここに書かれていることが不可能であるとは思えない。すでに人類は神にでもなったような有様である。夢を全て実現できるサイエンステクノロジーは果たして人類を幸福にするのだろうか疑問がのこる。
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私たちのまわりを取り巻くテクノロジーの中で生命に関わるものをあげるとすれば何があるだろうか?著者は遺伝子操作、ナノテクノロジー、ロボット工学の3つ挙げその問題点記している。歴史からもわかるように、人間にとって良かれと思い発明・開発されたテクノロジーも時と場合によれば人間にとって負...
私たちのまわりを取り巻くテクノロジーの中で生命に関わるものをあげるとすれば何があるだろうか?著者は遺伝子操作、ナノテクノロジー、ロボット工学の3つ挙げその問題点記している。歴史からもわかるように、人間にとって良かれと思い発明・開発されたテクノロジーも時と場合によれば人間にとって負の方向に利用される。先に挙げた3つのテクノロジーのその可能性があること含んでいる。 単なる科学としての見解ではなく、その根底にある哲学や倫理観を土台にして書かれているので読み砕くのに時間がかかる部分もあるが、進歩が全ていいというわけではなく、その過程で見落とされがちなものを気づくことができる。
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