素晴らしい一日 の商品レビュー
・素晴らしい一日 ・アドリブ・ナイト ・オンリー・ユー ・おいしい水の隠し場所 ・誰かが誰かを愛してる ・商店街のかぐや姫 中学校のとき、クラスの男子が読み上げた作文を思い出しました。 「ぼくは、最初の1ページを読んで面白くない小説は読みません」 この本は「ぜひ読め」とお勧めで...
・素晴らしい一日 ・アドリブ・ナイト ・オンリー・ユー ・おいしい水の隠し場所 ・誰かが誰かを愛してる ・商店街のかぐや姫 中学校のとき、クラスの男子が読み上げた作文を思い出しました。 「ぼくは、最初の1ページを読んで面白くない小説は読みません」 この本は「ぜひ読め」とお勧めできる。 “日曜日の朝っぱらから不精髭をはやし、ボサボサ頭にくたびれたジャージの上下という格好でパチンコをしている三十七歳の男に相応しい呼び名は一つしかない。 甲斐性なし。” この出だしだけで引きこまれるでしょう? その甲斐性なしに「貸した金返せよ」と言いに行った一日の話なんだけど、その男がもう本当にダメなやつで、頼りないしいい加減だし、でも最高にハッピーな笑顔の持主。 はたして幸恵は彼から貸した二十万円を返してもらうことができるのか。 6つの短編は、どれもこれも頼りない男が出てきて、ちょっと情けない面を見せたりするけれど、それは決して不快ではない。 それどころか、読み終わったあとは元気が湧いてくるくらい。 例えば「オンリー・ユー」の主人公は、三十三歳独身イケメンの中原という男で、まあモテる。 「有能なのは十分わかってるからさ。もう少し、肩の力を抜いていいんだよ」なんてことを平気で言えるやつなのである。 そんなこと言われたら、男社会で日々悔しい思いをしている女ならコロッといくよね。 さて、一体誰が誰に手玉に取られていたのでしょう。 全てを言葉にするわけではない。 言わない言葉が伝わるのは、そこに至る行動が、今までの付き合いが、彼や彼女という人間を教えてくれているから。 その書き方が上手いんだよね。 「素晴らしい一日」がデビュー作ということだけど、クオリティの高さはなかなか見ないほどだと思う。 「おいしい水の隠し場所」の主人公ルイみたいな女の人が、私はたいてい好きなんだけど、今回は「商店街のかぐや姫」の努にやられました。 家業のスーパーの経営もろくに出来ず、ふらふらしては時々浮気する。 財布も持たずに家を出たからと、妻の月恵にホテルまでお金を持ってきてもらうようなやつ。 だけど、ちゃんと人のことを見ているの。 手のさしのべ方が上手いのよ。 そういうの、いいなあ。 幸せというよりも、どちらかというとちょっと不幸寄りの人たちばかりが出てくるのに、読んだ後は「すべて世はこともなし」って思えてくるから不思議。 明日も生きていけそうです。
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作者ご自身によれば「クスッと笑えてちょっぴり身につまされるビタースィートな大人のコメディー。」ということですが確かにそのとおりでした。えー何でこうなるの?と思わず嫌になってしまいそうな重い出来事の中にも吹いてしまいそうな笑いが隠されている、そんなお話を集めた短編集でした。 『おい...
作者ご自身によれば「クスッと笑えてちょっぴり身につまされるビタースィートな大人のコメディー。」ということですが確かにそのとおりでした。えー何でこうなるの?と思わず嫌になってしまいそうな重い出来事の中にも吹いてしまいそうな笑いが隠されている、そんなお話を集めた短編集でした。 『おいしい水の隠し場所』で学校の体育や部活が終わったあとの水道の水が一番美味しいというエピソードはそうかも、と思えました。その時その場所でしか味わえないものってありますよね。
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ダメな男がいろいろと・・・w いいですね、こういうの結構好きです。あんまりダメな男は、友達にも持ちたくないですけどね~ww
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世の中が劣化したので、田辺聖子の後継?なジャンルも劣化したのだろうか。それともあまりに自分と違うので架空ファンタジーには話が違うし、共感もできないしというところなのだろうか・・・
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6つの短編だったが、どれもひねりがなくあっさり終わった気がしました。 歪んだ人物が出てきたかと思えば、そうでもないの繰り返しで、正直おもしろみにかけるなと思います。 でも、逆に言えば人が死んだり、殺人、自殺ネタが多いなか珍しく平穏な小説でした!そこは好きです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
この本が新刊で出た時に初めて読んだときは、正直あんまり印象に残らなかった。期待したのに面白くなかったな、と感じた気もする。ところが最近また急に読みたくなって手にとったら、なぜこれが面白くなかったな、と感じたんだ私は!と当時の自分をなじりたい。 とにかくほとんど出てくるのは駄目な男ばかり。チャラチャラしてだらしない。よくいる、こんな駄目な男。だいたい小説なんかじゃ脇役。しかも痛い目みる。 ところがこの作品だと、なぜか主人公の女たちを癒してくれたり救ってくれたりする。 憎むべき要素をこれでもかと出して嫌な奴にしたてられているのに、ふとした信念のようなものが見えて、彼らが眩しく見える。 駄目な奴に、だらしない奴。私のまわりにもいる。 でも、そんな奴らも実は捨てたもんじゃないかも。 自分のフィルターがちょっと変わる物語。
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短編集 タイトルより「素晴らしい一日」のみ読了。 韓国映画の原作とのこと。 それ観たさに読んでみた。 ★★★★☆よりの★★★ きっと、韓国映画ならこれをうまいこと1本の作品に仕上げているだろうなあ。と、読んでいてイメージわいた。納得。 ちなみにもう1篇、これまた韓国映画の原作が...
短編集 タイトルより「素晴らしい一日」のみ読了。 韓国映画の原作とのこと。 それ観たさに読んでみた。 ★★★★☆よりの★★★ きっと、韓国映画ならこれをうまいこと1本の作品に仕上げているだろうなあ。と、読んでいてイメージわいた。納得。 ちなみにもう1篇、これまた韓国映画の原作が入っているが、 時間の関係で今回は未読。 またの機会に。
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ようやくたどりついたデビュー作。 でもこれから読み始めていたとしたら、平さんの魅力に気づけたかどうか。 表題作を始め、すべての作品にその後の作品の原型が見える。そしてこの短篇集がいちばん田辺聖子さんの影響を感じられると思う。 「素晴らしい一日」や「アドリブ・ナイト」はかなりぶっ...
ようやくたどりついたデビュー作。 でもこれから読み始めていたとしたら、平さんの魅力に気づけたかどうか。 表題作を始め、すべての作品にその後の作品の原型が見える。そしてこの短篇集がいちばん田辺聖子さんの影響を感じられると思う。 「素晴らしい一日」や「アドリブ・ナイト」はかなりぶっ飛んだ設定だと思うのだが、そういうことを一切感じさせず、先を読みたくなる文体やリズム感がある。 描写が非常に具体的で、それを読むだけでもたくさんのことがわかるようになっている書き方は、読むのはとても楽なんだけど、書くのは難しい。 平さんは稀代のストーリーテラーなんだな。
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友達から貸してもらいました。イ・ユンギ監督による映画がとてもよかったようで。 個人的には、最後に収録されている「商店街のかぐや姫」が一番好き。 あとがきを読んだら、作者は田辺聖子を愛読しているようで、成程、「仕方ないなぁ」と苦笑してしまうような登場人物たちの描き方には、近いものが...
友達から貸してもらいました。イ・ユンギ監督による映画がとてもよかったようで。 個人的には、最後に収録されている「商店街のかぐや姫」が一番好き。 あとがきを読んだら、作者は田辺聖子を愛読しているようで、成程、「仕方ないなぁ」と苦笑してしまうような登場人物たちの描き方には、近いものがあるかも。
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表題の“素晴らしい1日”は、結構お金に執着してしまう自分自身だけど、世の中お金よりもっと大事な何かがあると思わせてくれた。 そして、読み終わった後の何とも言えないほのぼのとした感じ。 とても幸せな気分。
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