功名が辻 新装版(二) の商品レビュー
現代から見れば歴史としてみる移り変わりも、様々な個人の思惑や時の運で変わっていくのかと思うと非常におもしろい。 強弱の付け方がすごく、信長が1行で討たれたのは少しビックリした。
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山之内一豊という凡庸な亭主をして、城持ち武将へと押し上げるという、上げマン一代記であるが、主人公 千代の知性を含めた人間的な本質の高さと必要以上に驕ることのない一豊の純朴さが読み手に安心感を与える。羽柴秀吉という登り龍を見極め、その家中で安定して禄を得ることは容易ではない、まして...
山之内一豊という凡庸な亭主をして、城持ち武将へと押し上げるという、上げマン一代記であるが、主人公 千代の知性を含めた人間的な本質の高さと必要以上に驕ることのない一豊の純朴さが読み手に安心感を与える。羽柴秀吉という登り龍を見極め、その家中で安定して禄を得ることは容易ではない、ましてや徳川の時代にしたたかに生き延びていくのであるから奇跡というより他はないと思う。
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山内一豊の2巻目。 本能寺の変から秀次の謀反計画まで。 1巻に引き続き、妻千代の才女っぷりが頼もしい。しかし旦那の一豊は相変わらずのキャラクターでついつい応援したくなる。 サラサラと読み終わった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
木下藤吉郎(豊臣秀吉)の手についた伊右衛門の出世は、遅々としてならない。そして日の出の勢いだった織田家に転機がきた。信長が本能寺で斃されたのである。跡目をねらう諸将の中で、いち早くとび出したのは秀吉であった。伊右衛門にも運がむいてきた。四十歳を目の前にして、彼はやっと大名になった、わずか二万石の…。
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さくさくっと読めた。この時代の司馬遼太郎作品は、楽しくて楽しくて仕方がない。 読んでいてためになりそうな箇所がたくさんあり過ぎ、付箋がいっぱいになった。まるでビジネス書、啓蒙書である。 その中の一部を引用してみたい。 ・運。人は手軽に考える。秀吉は運が良かったから英雄の名を...
さくさくっと読めた。この時代の司馬遼太郎作品は、楽しくて楽しくて仕方がない。 読んでいてためになりそうな箇所がたくさんあり過ぎ、付箋がいっぱいになった。まるでビジネス書、啓蒙書である。 その中の一部を引用してみたい。 ・運。人は手軽に考える。秀吉は運が良かったから英雄の名を得たのだと。しかし、運というのは英雄の最大不可欠の条件である。憑いているものを英雄という。才能器量があるだけでは、英雄の条件ではない。 →運も実力のうち、というが正にこのことなのだろう。確かに私も今までの勝負所では運が良く道を切り拓いてこれた。もちろん、私は英雄ではないが(笑) ・秀吉が雨中行動を戒めたのは、将士の健康を考えた訳ではない。足軽衆めいめいが携行している煙硝に水気が含むことをおそれたのである。雨中突進しても、いざ合戦で弾が打てなければなにもならない。 →本能寺の変後の中国大返しの一節。当たり前のことだが、鉄砲が雨に弱いことは周知の事実であるが、この判断で勝負が分かれるのだ。 ・疲れほど人間を無残にするものはない。光秀は彼の最も重大な時期において、叡智は枯れ、果断心はなくなり、彼だけでなくその兵は疲労しきっており、火薬さえなかった。 →対する明智光秀。本能寺の変後は運も尽き、判断力も尽きた。英雄にはなれなかったということである。 ・「乱軍の中でも光秀殿の馬印は見えたでございましょう」 「見えたとも。それを目当てに我々は全軍押して行ったのだ」 (馬鹿なこと。皆、阿呆のように光秀の本陣をめがけて押して行ったとは何て馬鹿であろう。) 「いざ敗軍となれば光秀殿はどこにお逃げなされます」 「知れたことよ。近江坂本か、丹波亀山かだろう。」 「いずれにしても、京は通れませぬ。小栗栖の間道を通るのはちょっと考えても分かることではありませぬか。なぜ、先にかけてその間道を抑えませなんだ。されば土民に光秀殿の首を取られずとも、旦那様の手で取れたはずでございます。戦は人の波と共に駆け引きしていては、名は立てられませぬ」 →山崎の戦い後、功名を上げられなかった伊右衛門と、それを冷静に分析する千代の会話。確かに、わぁーっと何の思慮もなく対象物に群がるより、行き先を察知し先回りしたほうが功名を立てられるのだろう。 ・確かに伊右衛門には軽微な不運が続いていた。しかし、これを不運と思うのは愚者である、と千代は考えている。運、不運は事の表裏に過ぎない。裏目が出ても、すぐいい方に翻転出来る手さえ講ずれば、何でもないことだ。 →このポジティブさ、見習いたい。 ・徒歩で逃げた。千代が買ってくれた十両の大馬は、乱軍の中で置き忘れた。馬を探そうとしたが、探していては命が危ない。ちっ、捨てた。伊右衛門はカブトも具足も捨てて逃げた。 →あらら、あの素晴らしいエピソードの馬をこんな簡単に失うとは…。しかし、伊右衛門は馬を失ったとは言え、名は歴史に遺したということか。 ・あっ、と思ったのは、北政所が10歳になるよね姫の存在を知ってくれていたことである。会う前にお調べあそばしたか、と思ったが、それにしても心憎いほどに人の心の捉え方を知っている。この点、秀吉夫婦の特技といって良かった。 →人と会う前にその家族について調べておき、さりげなく話題にする。これぞ人たらしの極意か。 「北政所さま、私のような者が、返事に困るようなことを申されてはなりませぬ」 北政所は千代の受け答えの機敏さに、すっかり満足している。 →なるほど、答えに困る質問にはこう答えるのも手である。 ・千代にすれば、伊右衛門に大局的な頭の働かせ方を期待している。出陣、戦う、だけでは、いつまでも単なる侍働きではないか。天下の政治、天下の軍事を頭において自分の与えられた小さな部分の仕事をする、という具合でなければ、ついには大をなさない。 →全体の流れを考えながら、目の前の自分の仕事をせよ、ということか。 ・人間、物の言い方一つでずいぶんと無用の手傷を人に負わせるものだ。 →豊臣秀次を評した記述。大河ドラマでは成宮寛貴が演じ、幼い頃から山内夫妻に預けられ、最期は非業の死を遂げた貴公子といった感じで描かれていたが、原作では嫌な性格。山内夫妻ともに嫌うこととなる。
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山内一豊公もついに大名に!後半は豊臣政権の衰退が始まっていく。豊臣秀吉も一時の英雄の姿がなくなり、自身とその一門の繁栄自家製考えることが出来ない人になってしまった。
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一豊本人は平凡な武士という感じなのに、運が良いというか、周りの人たちに恵まれているというように見えます。そういう人達を引き寄せるという人柄もあるのでしょう。 千代のような、夫を奮い立たせ、出世させようと働く、そんな生き方が面白く読めました。 後半は、秀吉の話になるので、ちょっと中...
一豊本人は平凡な武士という感じなのに、運が良いというか、周りの人たちに恵まれているというように見えます。そういう人達を引き寄せるという人柄もあるのでしょう。 千代のような、夫を奮い立たせ、出世させようと働く、そんな生き方が面白く読めました。 後半は、秀吉の話になるので、ちょっと中だるみしてきた感です。
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二巻は備中高松城攻めから、関白秀次切腹まで。 千代の洞察力、機転に感心。 主人公格の山内一豊は、凡庸に書かれている。 では、その分、お人好しで人好きのする性格で…、 という長所の味付けかというと、そんな面もあるにはあるけれど、 強調されてはいない。 なんだかどこまでいっても凡...
二巻は備中高松城攻めから、関白秀次切腹まで。 千代の洞察力、機転に感心。 主人公格の山内一豊は、凡庸に書かれている。 では、その分、お人好しで人好きのする性格で…、 という長所の味付けかというと、そんな面もあるにはあるけれど、 強調されてはいない。 なんだかどこまでいっても凡庸さが強調されているようで、 ちょっと同情する。
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2012.6.22読了。 あーぞわぞわする。具体的にいうと、秀頼が産まれたぐらい、朝鮮出兵ぐらい、つまり秀吉がわからなくなってくる頃から、いてもたってもおれなくなってくる。
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超下っ端の武士が家来のため、妻のため、死にものぐるいで出世街道をよじ登っていく。歴史的な良妻に乗せられたりしつつ。 成り上がり物語自体も面白いし、何事も妻の意見を聞いていた一豊が土佐の主となるや、急に傲慢になるあたりで、環境が人に与える影響の怖さみたいなものも感じられる、感慨...
超下っ端の武士が家来のため、妻のため、死にものぐるいで出世街道をよじ登っていく。歴史的な良妻に乗せられたりしつつ。 成り上がり物語自体も面白いし、何事も妻の意見を聞いていた一豊が土佐の主となるや、急に傲慢になるあたりで、環境が人に与える影響の怖さみたいなものも感じられる、感慨深い作品
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