力を引き出す の商品レビュー
結論から言うと、最終予選で国民を熱狂させた後の噂されたいざこざや、ちぐはぐぶりにはあまり触れていない。 冒頭で短くアテネでのエピソードを紹介しているものの、それ以外は一切触れていない。「100%の闘争心」では、監督自身の声が聞かれなかっただけに、その点はひじょうに残念。しかしなが...
結論から言うと、最終予選で国民を熱狂させた後の噂されたいざこざや、ちぐはぐぶりにはあまり触れていない。 冒頭で短くアテネでのエピソードを紹介しているものの、それ以外は一切触れていない。「100%の闘争心」では、監督自身の声が聞かれなかっただけに、その点はひじょうに残念。しかしながら、読むと結局最終予選後のジャパンのちぐはぐさは、経験不足という一言でまとめられてしまうのかもしれないと思える。 「100%の闘争心」でも綴られていたが、選手たちがオリンピックの開会式などで雰囲気に飲またまま試合に突入し、修正がすぐに利かなかったことは否めないだろう。大舞台に浮ついてしまった経験不足。 また、この本でも「100%の闘争心」でも書かれてあるように、久しぶりにオリンピックに出場した協会のバックアップぶりはかなりひどいことがはっきりと読み取れる。これも世界でギリギリの勝負を経験していない協会の経験不足。 そして最後に監督自身としては、個がしっかりとした自立した女性に選手を育てたはいいものの、そんなチームを率いたことがない経験不足、といえたのではないだろうか?選手たちは、数々の修羅場と壮絶な努力を経て、真の大人のチームに脱皮したと確信していた。しかし過去の自身の経験から、監督にはそれが危険に見えた。結局そのギャップが最後までうまく埋められなかったのではないだろうか? そのほかの内容は、たいして目新しいものはない。特に「甦る全日本女子バレー」を読んでしまった人にとっては、知っているエピソードが多いかもしれない。監督の現役時代の話から、結果を残しながらも幾度も廃部にあってしまった経験や、かますの話やタイのナショナルチームを率いた経験。個人的には「人生負け勝ち」という監督の言葉が好きだ。 最終予選(正確には、オリンピック・クオリファイング・ラウンド)を1位で通過し、めぐかな人気で最高ボルテージに達したものの、そこから消化不良なニュースしか届かなかった全日本女子バレー。以前このブログで「100%の闘争心」を紹介した時にも強烈なコメントが寄せられた。様々な憶測があるものの、真相は世界と戦った経験のないものたちが、一生懸命に戦った結果、残念ながら敗れてしまったということかもしれない。そして大事なのは、誰が悪いとかと戦犯を見つけることではなくて、この経験に続くことであろう。 監督続投問題で選手から励ましのメールが届いたところを見ると、柳本監督はやはり優秀な監督だということが推測できる。確信犯的に早くからめぐかなコンビを代表に召集するプロデューサー的発想は今までの監督にはなかったものだし、様々なバックアップ体制やスペシャリスト力の重要性をしっかりと認識しているところも素晴らしい。実際に協会にはかなり熱く訴えたようである。古き良き伝統と、時代にあった強化を期待できるかもしれない。今後監督にこの経験を活かして欲しいと願うと共に、あの国民のバレー熱が打ち上げ花火でなかったことを祈りつつ、北京オリンピック後の自伝に期待しよう!
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