浪漫小説のように の商品レビュー

遠野春日(著者)

ノスタルジックな情景…

[文庫ＯＦＦ]

ノスタルジックな情景が目に浮かぶようです。

伯爵と深窓の令息風の…

[文庫ＯＦＦ]

伯爵と深窓の令息風の青年のBL。大正時代が舞台なので醸し出されている雰囲気がとてもいい感じです。

2020/03/05

▼あらすじ
『家政婦求ム』という小さな新聞広告に応じて、伯爵家当主の二階堂裕貴のもとを訪れたのは、見るからに育ちが好さそうな美しい青年だった。
深窓の令息といった風情の彼・和音は、家事全般をそつなくこなすばかりか、きめ細やかな心遣いによって裕貴の生活を豊かにしていく。
時折、憂いを含んだ表情を見せる謎めいた和音に、裕貴は次第に惹かれていって・・・。
ノスタルジックな情景の中で育つ浪漫チックラブ?

＊＊＊

ストーリーの完全度：普通
トーン：あまあま
エロ度：少ない
萌え度：高い
総合評価：★4.0

元は新書で出版されていたようですが、門地かおり先生のイラストが見たくて文庫版のこちらを購入。既に絶版になっている作品なので紙での入手が困難なのは勿論、電子はどこのサイトも新書版しか取り扱ってなくて困りました…(-_-;)

古い作品ですが、やはり門地かおり先生のイラストはこの頃から変わらず美しいですね。
作品の雰囲気にも合っていますし、キャラクターの特徴もよく捉えられていると思います。
挿絵を見るだけでも楽しくて、苦労して紙本を手に入れた甲斐がありました。

ストーリーの方も大正モノとしてはなかなか上手く出来ていると思います。
特に良いなと思ったのがキャラクターの喋り方。実に大正っぽいと言いますか、浪漫を感じましたね(笑)
雰囲気はしっかり出ていたので、私のような大正好きならまず楽しんで読めると思います。

ただ、一つ残念な点があってですね…攻めが恋に落ちるのが早過ぎるんですよ(笑)
いや、好意を抱くのは分かるんです。でも、ノーマルな攻めが同性に対して恋愛感情を抱くには些か説得力が足りない気がするんですよね…。
二人がくっ付くまでは割とゆっくりめだったのでその辺は良かったのですが、もっと受けに惹かれていく過程をしっかり描いてほしかったなと思いました。

あとは地味に受けのお兄さんのお話が良かったですね。スピンオフが同時収録されている事にも驚きでしたが、それ以上に受けになるとは思ってもみなかったので衝撃的でした。
しかも男と寝た事あったんかい！っていう(笑)
本編ではあまり印象の良くなかったキャラでしたが、このスピンオフのおかげで大分イメージが変わりました。
何なら本編CPよりこっちの方が続きが気になるかもしれない…なんて(笑)

2014/01/24

　伯爵家当主の二階堂裕貴は、結婚もせずに悠々自適な一人暮らしを楽しんでいた。
　その裕貴の世話をしていてくれたばあやが高齢になったことで辞めることになり、代わりの人間を求めるために『家政婦求ム』という小さな新聞広告を出した。
　そんな裕貴の下に訪れたのは、見るからに育ちが良さそうな青年・和音だった。
　和音は深窓の令息・と言った様子の彼の見た目に反し、家事全般をそつなくこなすばかりか、きめ細やかな彼の心遣いによって裕貴の生活を豊かにしていく。
　裕貴はそんな彼の働きを、買っていていずれは自分の仕事を手伝わせる秘書にできれば……と思っていた。

　けれど和音は、時折憂いを含んだ表情を見せ、なかなか自分の過去を話そうとしない。
　そんな時、和音の実家から急な連絡が来て、それっきり和音は戻ってこなくなり……

　という話でした。
　なんとなくうっすら話の展開は読めていたのですが、二人の関係がまったりゆっくりでよかったと思います。
　ふとしたところで触れ合った時の書き方とか、本当にいいなあと思いながら読んでました。
　元々は和音が裕貴に恋心を描いていて、せめてひと時でも一緒にいたいという願いから、家政婦へと立候補してきた、という流れなんですが、和音が切なくてとてもよかったです。