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アマバルの自然誌 の商品レビュー

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2013/02/26

沖縄に移住した作家が沖縄中部のアマバル(安間原)に居を構え、身の回りの自然について書いたエッセイ。 小さい虫や名もない花などに対する愛情を感じる。いつか沖縄に住みたいので、私も年2回の草刈りの日と地域の運動会にはかならず出席して、地域に溶け込むつもり。その日を楽しみにしている。著...

沖縄に移住した作家が沖縄中部のアマバル(安間原)に居を構え、身の回りの自然について書いたエッセイ。 小さい虫や名もない花などに対する愛情を感じる。いつか沖縄に住みたいので、私も年2回の草刈りの日と地域の運動会にはかならず出席して、地域に溶け込むつもり。その日を楽しみにしている。著者は今どこにすんでいるのだろうか。

Posted byブクログ

2009/10/04

作家、池澤夏樹が沖縄で暮らすようになったと聞いた時、なんだかとても似つかわしいなと思った。南海の孤島でのような物語が多いのもそう感じた理由だろうし、自然に対するちょっと歪んだ申し訳なさを彼が常に表明しているからかもしれない。 決して優れた自然観察の本ではない。私が読んでいていらい...

作家、池澤夏樹が沖縄で暮らすようになったと聞いた時、なんだかとても似つかわしいなと思った。南海の孤島でのような物語が多いのもそう感じた理由だろうし、自然に対するちょっと歪んだ申し訳なさを彼が常に表明しているからかもしれない。 決して優れた自然観察の本ではない。私が読んでいていらいらするほどに著者は自然を知らない。そこがこの本の力となっていく。彼の自然知識は、長野県に生まれ、今は都会に住み、バードウォッチングを趣味としている私の持っている自然に関する知識と比べるとほとんど何も知らないに等しい。読んでいてまず、そう感じた。そして私にはそれが新鮮だった。 多分、多くの読者にはそう作用しなかったと思う。自然を知らないことが共感として働き、一層読みやすい本だったに違いない。 「内地」という言葉がある。そんな言葉は沖縄の人は滅多に使わない。そのことを文章を書き始めた時の著者は知らない。だから平気で内地という言葉を使う。こんな言葉、日本人(第2次世界大戦の頃の)が沖縄と自分たちを区別するために使ったのは明らかだ。だが、自らを本土と呼んだりする人々にはそこが判っていない。このことを著者は知らない。 そしてある時に気が付いたようで、「ヤマト」という言葉を使う。しかし、そう呼ぶんだ、ということしか学ばなかったので、相変わらず内地という言葉がその後も登場する。つまり著者は内地という言葉を使う意味とヤマトという言葉を使う違いについて、この本を書き終わった後でも気が付いていないのだ。(この本は雑誌に連載された文章をまとめたものだ。編集者もこういう知識がない訳だ。最近、編集者の無知にいらいらすることが多く、本当に悲しい。)そしてその差に気付かないまま著者はフランスで暮らすようになった。 さて。私は池澤夏樹という作家が好きだ。文章もいいと思うし、論旨もいつも気持ちいい。だが、沖縄に5年住んだ結果、彼は沖縄の人と深い交流が出来なかったのだと、この本を読んで感じた。これはちょっと大きな失望だ。沖縄は相変わらずヤマトから遠いようだ。

Posted byブクログ