アンドレ・ヴェイユ自伝(上) の商品レビュー
フランス人数学者の秘密結社である「ブルバキ」のリーダー格を長年務めたアンドレ・ヴェイユの自伝。ブルバキが著した「数学原論(Éléments de mathématique)」は、1940年代~70年代の純粋数学の基礎づけから、「構造主義」に代表される哲学・思想のムーブメントまで、...
フランス人数学者の秘密結社である「ブルバキ」のリーダー格を長年務めたアンドレ・ヴェイユの自伝。ブルバキが著した「数学原論(Éléments de mathématique)」は、1940年代~70年代の純粋数学の基礎づけから、「構造主義」に代表される哲学・思想のムーブメントまで、世界中に多大な影響を与えた。社会科学における20世紀最大の成果ともいわれる、レヴィ・ストロースによる親族構造の有限群による表現は、まさにブルバキとレヴィ・ストロースの合作だといえる。 ブルバキは「数学原論」を著すにあたり、集合論と位相空間論を、公理化の基礎に据えることを決めた。この2つの道具があれば、代数学・解析学・幾何学の基本的な結果を覆い尽くすことができるからである。ここで、ブルバキが位相空間論を採用できたのは、モーリス・フレシェというフランス人の数学者が、1906年に位相空間のコンパクト性を特徴づけたことが非常に大きい。コンパクト性の概念自体は、ポアンカレやヒルベルトの時代から議論されていたものの、その性質を厳密かつ必要十分に与えた功績は、もっと評価されてもいいと思う。 この本を読もうと思った動機は、「数学原論」を執筆するにあたり、ブルバキとフレシェの間に何らかのコミュニケーションがあったのかどうかを知りたかったからである。結論から言うと、少なくとも本書の中でフレシェについて触れられているのは、上下巻を通じてたった2ページのみであった。ブルバキの時代には、フレシェはもはや過去の人になっていたのかもしれないが…。
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レヴィストロースと関わりがあったプルバキのアンドレヴェイユの自伝。普通に面白いがちょっとエリート志向が強いので思想書としては読めない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
彼について、他の作家が書いているものは、非常に興味深い。それはアンドレ・ヴェイユが素敵な男だからだ。ただ、ヴェイユが自身の人生を描いてしまうと、あまりに冷静で、読み物として、魅力にかける。
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