生きがい発見の心理学 の商品レビュー
私にとって、本著は、カウンセリングの極意を学べる良さと、死生観を考えさせられる側面と、二つのポイントがあった。 よく言われる事だが、経験的に馴染みが無い。カウンセラーは説得したりアドバイスを与えたりしない方が良い、という話。クライエント中心療法とは、カウンセリングにより2人の関...
私にとって、本著は、カウンセリングの極意を学べる良さと、死生観を考えさせられる側面と、二つのポイントがあった。 よく言われる事だが、経験的に馴染みが無い。カウンセラーは説得したりアドバイスを与えたりしない方が良い、という話。クライエント中心療法とは、カウンセリングにより2人の関係が深まっていくにつれて、カウンセラーがクライエントの体験のプロセスに沿って自分を消し去り、全身全霊を込めて話を聞いていく事で、カウンセラーに向かって話をしていると言う意識を徐々に弱まらせる。クライエントは自分の体験に没頭する状態になっていく。例えば悲しさに同一化してしまうこともなければ、悲しさを否定することもしない。自分が悲しさを抱えていることを受容する。自らを受容していく過程がカウンセリングだと。 この話は凄い面白い。内省をするにも他者の言葉や意識、評価に晒されており、人は完全に孤独にはなれない。物理的には一人であっても心の中では内在化された様々な他者の声に支配され、囚われ、身動きが取れなくなっている。自分の心に語りかけるのではなく、自分の心が語りかけてくるのを待つ姿勢を大切にする。他者から解き放つ事で、内省し、受容が進む。一人で出来ないならば、その時カウンセラーがこの補助役になるのだ。 もう一つ、死生観について。これは誰が何を言おうが、それぞれ漠然と考え、しかし曖昧なまま日々を送らざるを得ないもの。禅の老師は、生きてるうちは死なない、死ぬときは生きてないから心配なさるなと。ウィトゲンシュタインも論理哲学論考の中で、死は生の出来事ではなく、人は死を体験しないと言う。大別すると「輪廻か、永遠の無か、永遠の有か」三択だろう。日本人の多くは、何となく、永遠の有、つまり意識が天国のような次元に転生し、生まれ変わりを待つような死生観を持っているのでは無いだろうか。しかしそれは、ただの希望であり、事実は究極的に不明。但し、その死生観に沿って生きる意味を問い直すと、生まれ変わりに何やら現世のヒエラルキー、良い事ポイントの加点交換システムのような、徳を積むという怪しげな「神の濁り」が見えてくる。 生きる事をただ直向きに。死を考えず。死や生きがいの浮き沈みさえも、カウンセリングの如く受容する事こそが、神の濁りなき死生観。これが、私の今の到達点である。
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どんなときも、人生には意味がある。なすべきこと、満たすべき意味が与えられている。この人生のどこかに、あなたを必要とする何かがあり、あなたを必要とする誰かがいる。そしてその何かや誰かは、あなたに発見されるのを待っている。だからたとえ今がどんなに苦しくても、あなたは全てを投げ出す必要...
どんなときも、人生には意味がある。なすべきこと、満たすべき意味が与えられている。この人生のどこかに、あなたを必要とする何かがあり、あなたを必要とする誰かがいる。そしてその何かや誰かは、あなたに発見されるのを待っている。だからたとえ今がどんなに苦しくても、あなたは全てを投げ出す必要はない。あなたが全てを投げ出したりしさえしなければ、いつの日か人生にイエスということのできる火が必ずやってくるから。 あなたが人生に絶望し、もう何も期待しなくなったとしまったとしても、人生の方はあなたに絶望するこはない。人生は死のその瞬間まで、あなたに期待しなくなるなど、決してありはしない。
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現代の社会問題的人間の生きることへの空虚感に対し、先人の心理学者や哲学者を引用しながら人間性心理学と、その先のトランスパーソナル心理学を考えている。
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新しいタイプの心理学を紹介しています。自分の置き換えやすく、読みやすい一冊。心理学入門書としてもおすすめ。
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