「野宿者襲撃」論 の商品レビュー
著者は、1964年生まれ。wikipediaによれば文芸評論家とのこと。本書と下記ウェブサイトから考える限り、主な研究対象は貧困問題(特に日雇い労働・野宿など)で、各地の小中高校などで「野宿問題の授業」を行っている。 著者のウェブサイト:http://www1.odn.ne.jp...
著者は、1964年生まれ。wikipediaによれば文芸評論家とのこと。本書と下記ウェブサイトから考える限り、主な研究対象は貧困問題(特に日雇い労働・野宿など)で、各地の小中高校などで「野宿問題の授業」を行っている。 著者のウェブサイト:http://www1.odn.ne.jp/~cex38710/ 主に少年たちが起こす「野宿者襲撃」。その原因は何なのかを考えている本。 その未知の原因は、野宿者襲撃以外の社会現象とも結びついているのではないか、という仮定で話は進む。 少女たち(男性よりも女性が多いことから)のリストカット。 例えばペットなど卑近なものや、とても遠い外国の戦争難民には共感も出来るし、彼らの抱える問題の深さを慮ることもできるが、その中間にいる、身の回りの人や町なかの人にはなかなか目が向かないこと。 過度に他者と比較することで必要以上に膨れあがる「プライドと不安」。 周りの大人たち、特に親が敷いた人生のレールというやつから離脱しきれず、ひたすら藻掻く中で貯まっていく一方のフラストレーション。 などなど。 で、その原因は何なのかというと。うーん、私のチキン並の理解力(これは卑下ではない)では分からなかった・・・。 著者は書き進めれば書き進めるほど、疑問が深まっていくようで、問題が投げかけたまま終わっていく章が多いように感じられた。正直なところ、あまり論が纏まっていないようだ。あとがきによると、『野宿者襲撃』についての包括的な論考を目指したものの経験と能力が足りず、完成した本に対して非常に複雑な思いも持っている、とのことだ。とても苦労されたのだと思う。
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