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天国の発見(上) の商品レビュー

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2件のお客様レビュー

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2013/10/16

1967年2月14日夜中の1時頃、同い年の二人オノとマックスは偶然に出会う。オノは言語学に天賦の才を持つが自らアマチュアと言い放ち、首相を務めた父と同じく政治への野心を隠さない。対してマックスは電波天文学の研究者として生きるが、それはナチズムの戦犯と犠牲者、両方の血を受け継ぐ出自...

1967年2月14日夜中の1時頃、同い年の二人オノとマックスは偶然に出会う。オノは言語学に天賦の才を持つが自らアマチュアと言い放ち、首相を務めた父と同じく政治への野心を隠さない。対してマックスは電波天文学の研究者として生きるが、それはナチズムの戦犯と犠牲者、両方の血を受け継ぐ出自からの現実逃避だった。政治的な考えの違いは時に堅固な友情をも崩す。そこに現れた13才下の女性チェリスト、アダもまた曰くある生い立ちだった。カフカの文学、マーラーの音楽などに触れつつ物語が続き、運命の子の誕生で上巻は終わる。

Posted byブクログ

2009/10/04

天使の意図によって驚異的な運命を歩まされた人間たちの話。 正直、上巻は抜群に面白かったのに後半は失速した。上巻のノリが最後まで続けば、文句なしに★5つだったのに。 話はクライマックスに向けて盛り上がりを見せる後半のほうがダイナミックではあるが、上巻との何よりの違いは登場人物の魅...

天使の意図によって驚異的な運命を歩まされた人間たちの話。 正直、上巻は抜群に面白かったのに後半は失速した。上巻のノリが最後まで続けば、文句なしに★5つだったのに。 話はクライマックスに向けて盛り上がりを見せる後半のほうがダイナミックではあるが、上巻との何よりの違いは登場人物の魅力にある。 まだ何の負い目もなかった時のマックスとオノの言動は読んでいて本当に楽しかった。 そんな彼らが中心だから、上巻のさまざまなエピソードもみな面白かった。 後半になると、彼らはそれぞれの理由から急激に魅力を失っていく。 代わりに登場する本書の主人公クインテンは、浮世離れしすぎていて親しめない。 話自体は後半のほうがクライマックスへ向けて収束していくダイナミクスがあるのだが、どうもクインテンが中心では盛り上がらない。 前半のエピソードは一見脈絡がなさそうで、すべてがクライマックスへの伏線になっている。 全体から見ればよくできた構成ということなのだろうが、上巻の個々のエピソードのほうが面白かった印象は拭えなかったし、彼らの奔放な言動を一つの結末にすべてくくりつけていくのは、やっぱり強引に感じられる部分もあった。 とまあ色々書いたけど、全体的には十分楽しめるエンターテイメントで、話が面白いだけでなく知的好奇心も刺激される。 (尤も、蘊蓄てんこ盛り系の小説では、この間読んだキアラン・カーソン『琥珀捕り』のほうがよかったけど)

Posted byブクログ