俳句は文学でありたい の商品レビュー
俳文学者による時評集。いいタイトルだ。僕は以前から著者の俳句観に共感し、その批評眼を信頼している。著者の、句作には表層的なレトリックを競い合うのではなく、時代や社会や文化や自己の内部に厳しく向き合ってゆく基本的姿勢が必須である、との軽薄短小の風潮に対する警笛は、俳句という分野を越...
俳文学者による時評集。いいタイトルだ。僕は以前から著者の俳句観に共感し、その批評眼を信頼している。著者の、句作には表層的なレトリックを競い合うのではなく、時代や社会や文化や自己の内部に厳しく向き合ってゆく基本的姿勢が必須である、との軽薄短小の風潮に対する警笛は、俳句という分野を越えた現代の言語表現一般への鋭く重い指摘だ。俳句に馴染みはないけれど興味はあるという方には、同じ著者の『挑発する俳句 癒す俳句』(薩摩書房)をお薦めする。
Posted by
- 1