時の香り の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
日本にまだ韓国料理店がなかった頃、銀座に『清香園』を開いた著者の、韓国の歴史や文化に触れながら書かれたレシピ本。 レシピ本と言いながら私の主眼はそちらではなく、コラム的な文章の方。 韓国の料理は「五味五色」を大切にしているという。 五味は「塩・甘・酸・辛・苦」、五色は「赤・白・黄色・緑・黒や茶色」なのだそうだ。 私からすると全てが赤く、辛いような気がするけれど、多分日本人が白身魚の味の違いが分かるように、韓国の人もあの色合いの中から五色を、辛味の中に五味を感じているのだろう。 韓国も昔は仏教の伝来に伴って殺生禁止令が出されていたけれど、李王朝が仏教よりも儒教を尊んだため、肉食文化が発展したのだという。 日本も江戸時代は儒教が尊ばれていたけれど、その時にはすでに仏教が生活に根差していたから肉食が浸透しなかったのだろうか。 それとも、ももんじ屋のように表に出ない肉食文化があったから、一般的に肉を食べなくても問題なかったのだろうか。 この本には書かれていなかったけれど、大抵の文化は中国から韓国を経て日本に入ってきた時代、唐辛子は日本から韓国にもたらされたものだと聞いたことがある。 日本で栽培するとそれほど辛くならない唐辛子が、韓国で栽培するととても辛くなり、それが韓国の人たちの口に合ったのだと。 兄弟のように同じような文化的背景を持ちながら、これほどまでに違ってしまった韓国と日本の食文化。 焼き肉ひとつとっても韓国と日本の食べ方は全然違うのだという。(もっともこの本が書かれてからずいぶん経つので、最近は韓国式で食べられるお店もずいぶん増えたことだろう) そんなことを考えながら、今度焼肉でも食べてみようか。
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