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岩波講座 都市の再生を考える(第2巻) の商品レビュー

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2011/02/06

「憲法という契約書は政府だけが守るべき義務を負う、片務契約の性格を持っている」  政府が義務を履行するかどうかを市民が監視するという形で今のシステムは動いている。今議論されている小さな政府とは、政府の義務を市民に譲り、コストカットを図るというもので、住人の無償もしくは自発的な...

「憲法という契約書は政府だけが守るべき義務を負う、片務契約の性格を持っている」  政府が義務を履行するかどうかを市民が監視するという形で今のシステムは動いている。今議論されている小さな政府とは、政府の義務を市民に譲り、コストカットを図るというもので、住人の無償もしくは自発的な活動によってそれを代替しようとする、少々虫の良すぎる話。  執筆者は政治学や都市社会学の先生で、都市や建築の専門家ではない。内容も論文形式で書かれいるため、読むのに手間がかかる。「まちつくり」というどちらかというと市民よりの言葉ではなく、都市政策など行政側からの視点で書かれており、生身の人間を想像させるような内容ではない。  問題として上げられているのは、都市の自治問題や地方問題。 これまで地方自治体が提供していた公共サービスを、市民の参加によって片側しりてもらうという議論が行われてる。 つまり、財政が苦しくなったから、市民に無償でやってもらうということ、コレを綺麗に言うと小さい政府となるんだけど、これまでの市民が行政を監視するという形から、行政と市民が協働して公共サービスを提供していくという市民参加型の地方自治が提起されているが、それについての問題提起し、安易に義務を放棄しようとする行政を牽制している。  公共サービスの提供に民間が「協働」するということは、これまでは行政が一方的に負っていた義務が民間も負うことになり、制約や責務が要求されひいては国と国民の関係性をも変えてしまう危険性がある。教育基本法の「愛国心」改正のような、本来自由であるはずのものが制約されてしまうことを危惧している。  税収入が減少しているとはいえ、一人一人が支払う税金の所得に対する割合は変わっていない。高齢者の比率が増え費用対効果が下がるというのもあるが、同じ対価を支払って、提供されるサービスが減るというのはどうもおかしいと言えないだろうか。

Posted byブクログ