ゾルゲ の商品レビュー
カバーには「歴史小説」と記されているが、明らかな虚構(単なる時代考証ミスらしきものもある)や空想を含み、有名な政治指導者を除いて、関係者の大半(尾崎秀実や石井花子でさえ)が仮名で、本書をもってゾルゲやゾルゲ事件を学ぶのには全く適さない。女と酒と自動車におぼれ、信頼する同志を次々...
カバーには「歴史小説」と記されているが、明らかな虚構(単なる時代考証ミスらしきものもある)や空想を含み、有名な政治指導者を除いて、関係者の大半(尾崎秀実や石井花子でさえ)が仮名で、本書をもってゾルゲやゾルゲ事件を学ぶのには全く適さない。女と酒と自動車におぼれ、信頼する同志を次々と葬り去るスターリン体制の醜悪さを自覚しながらも、自己を偽り、誇大妄想気味のヒロイズムでソ連と共産主義に殉じる破滅型のアンチ・ヒーロー像は、あたかも太宰治のようで、作中を通して「狂気」が溢れている。
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