ゾルゲ の商品レビュー
プーチンの履歴を見、「裏切りのサーカス」を見、ル・カレの文体に痺れ、此処に来る。 が、いや・・なんだこれといった調子で、句点のつけ方が肌に全く合わない。改行はあるが、センテンスのリズムが合わず実に読み辛い。 ゾルゲの風貌が表す狂気と怒涛の世界が溢れているだけに、全体的にそこはつ...
プーチンの履歴を見、「裏切りのサーカス」を見、ル・カレの文体に痺れ、此処に来る。 が、いや・・なんだこれといった調子で、句点のつけ方が肌に全く合わない。改行はあるが、センテンスのリズムが合わず実に読み辛い。 ゾルゲの風貌が表す狂気と怒涛の世界が溢れているだけに、全体的にそこはつかめる~ドーム球場の照明を落としたグラウンドに座布団やモノが飛び交っている・・感じ。 1938という時代が持つとてつもない時間~独逸ナチの「水晶の夜」日本の「盧溝橋事件」ドイツはその後ファッシズムまっしぐら、ソ連は「血の粛清」が始まり日ソ関係は敵対の緊張を深めて行った。 作品ではゾルゲはヘル・ドクトール、尾崎秀美は荒木秀美、宮城予徳は武藤誠と改名されている。この理由が解らない上に、ノンフィクションの形をとった「スパイの行状」をデカダンの形にしたフィクションと言う感触が大きかった。 原作がそういったものだからこういう文体になっなっかの家、その後のスポルテスは3作ほど出したが話題にならず消えているようだ。 訳が拙いのかと思いきや吉田さん、ギョームミッソ、ピエール・ルメーテルを翻訳しているから、あながち変な感覚とも思えない。 評価はひどすぎて「無し」と。 粘土のような分は心に浸透しきれなかった。
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カバーには「歴史小説」と記されているが、明らかな虚構(単なる時代考証ミスらしきものもある)や空想を含み、有名な政治指導者を除いて、関係者の大半(尾崎秀実や石井花子でさえ)が仮名で、本書をもってゾルゲやゾルゲ事件を学ぶのには全く適さない。女と酒と自動車におぼれ、信頼する同志を次々...
カバーには「歴史小説」と記されているが、明らかな虚構(単なる時代考証ミスらしきものもある)や空想を含み、有名な政治指導者を除いて、関係者の大半(尾崎秀実や石井花子でさえ)が仮名で、本書をもってゾルゲやゾルゲ事件を学ぶのには全く適さない。女と酒と自動車におぼれ、信頼する同志を次々と葬り去るスターリン体制の醜悪さを自覚しながらも、自己を偽り、誇大妄想気味のヒロイズムでソ連と共産主義に殉じる破滅型のアンチ・ヒーロー像は、あたかも太宰治のようで、作中を通して「狂気」が溢れている。
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