あの戦争は何だったのか の商品レビュー
太平洋戦争における問題点を時系列の中で的確に把握できる良書だった。 当時の軍部の戦争指導の失敗、それを引き起こした国家としての体質のまずさは、教訓として現代に活かさなければならない。 特に、情報軽視の体質について興味深く感じたため、「大本営参謀の情報戦記」「失敗の本質」を読み、情...
太平洋戦争における問題点を時系列の中で的確に把握できる良書だった。 当時の軍部の戦争指導の失敗、それを引き起こした国家としての体質のまずさは、教訓として現代に活かさなければならない。 特に、情報軽視の体質について興味深く感じたため、「大本営参謀の情報戦記」「失敗の本質」を読み、情報の重要性について見識を深めたい。 また、昭和天皇の人物の大きさに意外さを感じた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
太平洋戦争を主題に、日本人の国民性を問う一冊。 陸軍と海軍の見栄の張り合い。 都合の悪い真実に蓋をする大本営発表とそれに踊らされる国民たち。 幼稚な精神論を振りかざしてデータを軽視する東條と戦略なき参謀本部。 ずさんな情報収集による戦勝報告で日本人が浮かれ騒ぐ姿を想像するとまるでコメディのようですが、一方で犠牲になった日本人に思いを馳せると胸の詰まる思いがします。 『生きて虜囚の辱めを受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ』 『戦陣訓』を骨の髄まで叩き込まれた日本兵たちは鎌や棒で武装したアメリカ兵に襲いかかります。 また、神風特攻隊や本土決戦をただ遅らせるためだけの"防波堤"として、犠牲に捧げられた硫黄島や沖縄。 あまりにも身勝手な理屈で多くの人々を死に引きずりこんでしまった政府や軍部に憤りを感じずにはいられませんでした。 ひるがえって現代はどうでしょうか? 本質的な議論が交わされないまま、威勢の良いキャッチコピーを連呼しているうちに重要な政策が決定されたり、 東條の大好きな『精神力』を賞揚するようなナルチシズム溢れる啓蒙本が流行し、社会の問題すら精神論に単純化されてしまったり…。 我々は先の戦争から学んだといえるのでしょうか? 僕には経済大国面している現代の日本と、日露戦争後の欧米列強に並んだつもりでいる日本がどうもダブってしまいます。 愚かな歴史を繰り返さないためにも、我々は先の戦争から、まだまだ学ぶべきことがたくさんあるのではないかと思います。 また、日本政府から見捨てられて、ベトナムやインドネシアなどの異国に残された日本兵たちは現地人化してその国の独立運動に参加し、欧米の植民地政策と闘い命を落としたそうです。 そういった人々がいたということを、けっして忘れてはならないと思いました。
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このような歴史系の書籍を読むと、こっちの本ではこう書かれているのに、あっちの本では違うってことがたまにある。一つの出来事は視点によって何通りにも解釈されるとは歴史を語るときよく言われるが、できるかぎり沢山の人のフィルターから斜めに歴史を見たほうがいいなと思ったりする。 内容に関...
このような歴史系の書籍を読むと、こっちの本ではこう書かれているのに、あっちの本では違うってことがたまにある。一つの出来事は視点によって何通りにも解釈されるとは歴史を語るときよく言われるが、できるかぎり沢山の人のフィルターから斜めに歴史を見たほうがいいなと思ったりする。 内容に関しては、2.26事件~終戦までを、軍部に焦点を当てて説明。個人では太刀打ちできない、時代や社会のとてつもないエネルギーを感じる。
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未だ戦争は終わっていない。未だ戦後とは言えないのではないか。そう思える本です。戦争をしっかり検証し将来に生かす苦しみを経ていないことが今日の問題の根っこのように感じます。
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最近、ややこしいことをいう人が多いから、この手の話題は敬遠気味。購入後、なかなかその気になれず、積ん読状態としていた。 さして目新しい説を打ち上げてたりということもなく、ほとんどがこれまでに読んだり聞いたりしてきたことばかり。けれど、太平洋戦争に至る道筋と敗戦までをとてもうまく...
最近、ややこしいことをいう人が多いから、この手の話題は敬遠気味。購入後、なかなかその気になれず、積ん読状態としていた。 さして目新しい説を打ち上げてたりということもなく、ほとんどがこれまでに読んだり聞いたりしてきたことばかり。けれど、太平洋戦争に至る道筋と敗戦までをとてもうまくまとめていると思う。 防衛ライン死守のため、軍が行ってきた戦略のことごとくが失敗し、裏目にでて、ますます追いつめられていく過程はいかにもお粗末。作戦名こそは勇ましいのにね。不謹慎のそしりは免れないかも知れないが、簡単な記述に終始するこのあたりの内容は、正直面白く読み進めることとなった。 大した戦略もなく始めた戦争、そんな戦争遂行の過程を首脳部の愚かしい行動を順序だって読みゆけば、敗戦に帰結するのはなるほど明らか、実にわかりやすい。海軍さんの戦争継続に果たした役割を、元凶として指摘しているところが新しいか。 (2005年記)
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「太平洋戦争の総括なくして、どうして平和が語れるのだろう?また、日本は何を反省すればいいのか?この本にはその答えがある」
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あの戦争につき上っ面の部分でしか知らないと自覚しているから、誰よりでもなく、どこの国寄りでもない論点で読んでみたいというのはある。これはそういう点で、比較的希望に沿った書物だった。何がおかしかったのか、どこで間違えたのか、誰の意向が強かったのか、など、もちろん作者なりの解釈が含ま...
あの戦争につき上っ面の部分でしか知らないと自覚しているから、誰よりでもなく、どこの国寄りでもない論点で読んでみたいというのはある。これはそういう点で、比較的希望に沿った書物だった。何がおかしかったのか、どこで間違えたのか、誰の意向が強かったのか、など、もちろん作者なりの解釈が含まれているとは思うけど、概ね納得しながら読み進められた。でもまだ、他の視点でもいろいろ見てみたいですね。
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太平洋戦争時の日本について、とても詳細に経緯が説目されており、わかりやすい書。あとがきにもあったが、日本人は本質が良くも悪くも当時と変わっていないなと強く感じた。「戦術があっても戦略がない」過去から、歴史から学べることは多々あるはずだ。恥の歴史に正面から向かい、過ちを繰り返さぬ努...
太平洋戦争時の日本について、とても詳細に経緯が説目されており、わかりやすい書。あとがきにもあったが、日本人は本質が良くも悪くも当時と変わっていないなと強く感じた。「戦術があっても戦略がない」過去から、歴史から学べることは多々あるはずだ。恥の歴史に正面から向かい、過ちを繰り返さぬ努力をすべきであろう。
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侵略戦争だったのか、それとも自存自衛の戦争だったのか、よくわからなくなった。この本では、「侵略」という側に内容によるだろう。 これでの結論としては、あの戦争は必然的であり、あの時に戦争が怒らなかったとしても、いずれ軍が暴発し、戦争は起こっていただろうとしている。 また、それゆえに...
侵略戦争だったのか、それとも自存自衛の戦争だったのか、よくわからなくなった。この本では、「侵略」という側に内容によるだろう。 これでの結論としては、あの戦争は必然的であり、あの時に戦争が怒らなかったとしても、いずれ軍が暴発し、戦争は起こっていただろうとしている。 また、それゆえに現在の日本があるといっている。 著者である保坂氏は8月15日が終戦ということを良しとしていない。正式に第二次世界大戦が終わったのは、日本が「降伏文書」に調印した9月2日が正しいと。8月15日は単に日本が負けを認めた日だと。 また、「終戦記念日」ではなく「敗戦記念日」としたい思いの見れる。 陸相の「"敗戦"ではなく"終戦"にかえてくれ」といたっところ、第43代内閣総理大臣東久邇宮稔彦王が「"敗戦"ではないか、"敗戦"を理解することから全てが始まるんだ!」と一喝したところは、わたしも感じるものがあった。 でも、表上戦争は終わったとしても、事実上戦争は続いていたのだと思う。それから、戦争犯罪者を裁く戦争裁判が数年に渡って行われたのだがから。 日本から離れた国々で捉えられてた人達は、日本の地へ帰ることもなく、死刑判決で死んでいった。 裁判はとても正当なものではなかったという話しもあり、あまりに悲惨に思う。 読み終えた感想としては、太平洋戦争は軍上層部が調子に乗ったことからはじまった戦争と感じた。本書に記載されていることがすべて正しいとするならば、あまりにも杜撰過ぎる。 が、侵略的なところもあったのだろうけれど、アジアをイギリスなどの植民地から解放したというところに関しては、すべてが悪いわけではなかったとも思う。現に日本人を英雄として称えているところもあるらしい。 単に軍のガス抜きにしては、300万人以上の死者を出したこの戦争。一般徴収された日本兵は、自分の大切な人達を守るためだけに戦い。その人たちの元に帰ることを夢見て散っていったのだと思う。 これは罪なのだろうか、何かの対価なのだろうか。それを理解、知ったところで、わたしたちは何を感じて生きていけばいいのだろう。
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「世界的には、終戦記念日は日本が戦艦ミズーリで降伏文書に調印した9月2日である。」 知らなかったー
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