悪意の手記 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
こういうことをしてしまう人は、何かに酔っていることがあります。自分が悲劇のどん底にいると思い込んで,まるで演技でもしているように、儀式のように自殺してしまうことがあるんです。 説明のいらない善がある。自分も欲しいとも思った 数冊読んで思ったことだが、毎回主人公の性格は似たり寄ったりだなと感じた。筆者自身の経験と重ね合わせているのかもしれないと思った。 洋子を寝取られた話はほんとかわいそう なぜ人を殺してはいけないのか、絶望の中に救いを求める。悪意が凝縮され暴発する。 なにか変化を望むための殺人。 実に身勝手で愚かな行為だ。 「簡単に死ぬことをほのめかすのって、卑怯な人間のすることなんだよ。どうせ自分のカラに閉じこもって、甘いこと考えてるんでしょう?そういうのって、すごく駄目なんだよ」 「なあ、どうして戦争がいつまでも終わらないか教えてやろうか?...大義名分を作り出すからだよ。多くの人間が納得するような、戦争の理由をでっち上げることができるからだよ。多くの人間から容認されさえすれば、人間は人間を殺したって平然と生きていられるんだ」 深く考えることを避けてるんだ。悪人でいられれば楽だもんな。』 理由を作ると、必ずそれに反対する言葉がついてくる」 「人を殺すという行為に対して、何をしても釣り合いをとることはできない」 ー自分というものを抱えて、最後まで生きる勇気を持つってことだよ。
Posted by
「教団X」が面白いと聞いたので手に取った作家(図書館に「教団X」がなかった) 生きる、善と悪、罪、復讐、良心、悪意 「人を殺した」主人公の生と死
Posted by
暗くて重いテーマで村上春樹風の語りを意識してるのか、なんとなく回りくどく、途中で放り出そうかと思ったけど最後は少し救われたかな。多感な時期に大病を患い何度も死ぬ思いを経験し復活した時には逆に生きれることへの感謝を感じまばゆいばかりの生を生きるのかと思うけど、この主人公は虚無感と色...
暗くて重いテーマで村上春樹風の語りを意識してるのか、なんとなく回りくどく、途中で放り出そうかと思ったけど最後は少し救われたかな。多感な時期に大病を患い何度も死ぬ思いを経験し復活した時には逆に生きれることへの感謝を感じまばゆいばかりの生を生きるのかと思うけど、この主人公は虚無感と色のない世界を生きる事になる。 何とも想像しがたい。読んでいて胸が痛くなった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
人を殺してしまった男の手記。 苦悩や葛藤はわかるけど、どうしても殺された子の親目線になって読んでしまう。 何を自分勝手な事を言ってるんだと。 物語の中で幼い娘をいたずらに殺された母親が出てくる。 長い間恨んで恨んで犯人を殺してやろうと思い続ける気持ちの方が理解できた。 人を殺して動揺する者としない者なんでどうでもいい。 殺されてしまえばいなくなる。 理由なんてどうあれ2度と還らない。 ただそれだけだと思うから★2で。
Posted by
最後の章で登場する元刑事で現在探偵の男が言うセリフが真理だな。15歳でTPPという病気に罹り苦痛の中、生死を彷徨う経験で死への恐怖を克服する為に自ら考えた対抗策。同級生をわざと水死させ殺し、罪悪感を芽生えさせない悪人になる事で強い心を持とうとするが… 世の中には真の異常者や性癖の...
最後の章で登場する元刑事で現在探偵の男が言うセリフが真理だな。15歳でTPPという病気に罹り苦痛の中、生死を彷徨う経験で死への恐怖を克服する為に自ら考えた対抗策。同級生をわざと水死させ殺し、罪悪感を芽生えさせない悪人になる事で強い心を持とうとするが… 世の中には真の異常者や性癖の為に殺人を犯しながら日常を淡々と過ごせる輩も居るわけで、そういう人種に比べたらまだ救いはあるパターンかな。最後に悔い改めたから。
Posted by
+++ 「なぜ人間は人間を殺すとあんなにも動揺するのか、動揺しない人間と動揺する人間の違いはどこにあるのか、どうして殺人の感触はああもからみつくようにいつまでも残るのか」―死への恐怖、悪意と暴力、殺人の誘惑。ふとした迷いから人を殺した現代の青年の実感を、精緻な文体で伝え、究極のテ...
+++ 「なぜ人間は人間を殺すとあんなにも動揺するのか、動揺しない人間と動揺する人間の違いはどこにあるのか、どうして殺人の感触はああもからみつくようにいつまでも残るのか」―死への恐怖、悪意と暴力、殺人の誘惑。ふとした迷いから人を殺した現代の青年の実感を、精緻な文体で伝え、究極のテーマに正面から立ち向かう、新・芥川賞作家の野心作。 +++ 15歳で、致死率80%という難病を患い、死と真正面から向き合った挙句、すべてを憎むことで何とか折り合いをつけてきた主人公が、はっきりした理由もわからないながら急速に回復し、普通の生活を送れることになったときの動揺が、リアルに描かれていて驚く。それは、死を宣告されたときとは全く別のもののようである。それからの彼の心の動きや生き様は、彼自身に制御できるものだったのだろうか、と読みながら暗澹たる気持ちになる。おそらく表面上はいささか暗く変わったヤツ、くらいの印象だったのではないかと思われる彼の中で、さまざまな思いと葛藤が渦巻いていたのだろう。このまま病気が再発しなかったとしたら、今後の彼の人生はどうなって行ったのか、恐ろしくもあり哀れでもある。どんよりと思い気分と無力感が胸に残る一冊である。
Posted by
殺人願望のある人が果たしてこんな考えを持っているのかはわからないけれど、そういう人に一度読んでもらいたい本。
Posted by
うーん、イマイチ。 どっかでこんなような告白本、読んだことなかったっけ??て印象。 深そうな感じだがあんまり響かないなー。
Posted by
「土の中の子供」「遮光」を読んで、中村文則作品はこれで三作目。わたしの読んだ作品はすべて共通したものがあって、中村文則の書きたいこと、拘っていることが変わらずあり続けているのだとわかる。その共通項というのは、世界の不条理と離人感。主人公たちは例外なく、理不尽な出来事(本作であれば...
「土の中の子供」「遮光」を読んで、中村文則作品はこれで三作目。わたしの読んだ作品はすべて共通したものがあって、中村文則の書きたいこと、拘っていることが変わらずあり続けているのだとわかる。その共通項というのは、世界の不条理と離人感。主人公たちは例外なく、理不尽な出来事(本作であれば病気、土の中〜であれば虐待、というように)によってある根本的なものを損なってしまい、それによって離人感を抱えている。損なわれた彼らはまさにそのことによって、更にあらゆるものを失っていく。本作ではキリスト教のモチーフが散りばめられていましたが、ある種「原罪」を背負った人間、というイメージを受けた。中村文則はほんとうに書きたいことが、追求したいものが決まっているんだなあとおもいます。本作では、まあ主人公の考えていることは中二病というか、子供っぽいものであったが、日々を生き抜くことが非常に厳しくて、考えずにはいられなくて、苦しくてたまらないその状態の切迫感はとても伝わる。そしていまわたしがこの本を読んだことの意義を求めるとするならそこだ。読んでいて、なんだか今はそれなりにやっているけれど、もっともっと昔は、離人感に襲われて、自分の考えていることとやっていることがものすごく乖離していくのをコントロールできなくて、周りのひとには誤解されてばかりで、そのころのわたしにとって世界ってほんとうに、理不尽なものだったんだ。思い出した。というか、自分がその感覚を忘れていたことに驚いた。でもああいう感覚がきっとわたしの根底にあって、考えを形作っているんだろう。共感と言ってしまうのは危険な気がしますが、共感にとても近く、同時に今の状態とどれだけ隔たっているかを確認するような、そんな感覚で読んでいた。不条理な世界。暴力に晒されていること。わたしの世界認識と中村文則のそれはやはりとても近い。中村文則がほんとうに優れた作家かはわからないけれど、彼の作品を読むことでわたしが自分にとって重要なことを認識できたのは事実。他の作品も読みます。
Posted by
「私は人を殺した――」というよくあるテーマだが、『罪と罰』『冷血』みたいにズシンとはまるでこない。頭だけで書いてある感じで、やっぱり自分には合わない作家だ~。借りてる『王国』を読んだらもう読むのやめよう……
Posted by