聞書抄 の商品レビュー
「聞書抄」「三人法師…
「聞書抄」「三人法師」「紀伊国狐憑漆掻語」「覚海上人天狗になる事」を収録。中世の日本が舞台で、古典のような雰囲気があります。
文庫OFF
『聞書抄』 落魄した石田三成の娘に盲目の老人が豊臣秀次の話をする話 他三編『三人法師』『紀伊国狐憑漆掻語』『覚海上人天狗になる事』 個人的な好みとしてそんなに心惹かれる話はなかった。
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「第二盲目物語」と銘打っているだけあって、舞台設定は「盲目物語」によく似ている。 ただ、座頭の一人語りという体裁で書かれた「盲目物語」と違い、「聞書抄」は過去のとある文献を準拠に谷崎が執筆したという構成になっている。この辺りはどちらかというと「春琴抄」や「少将滋幹の母」の作りに近...
「第二盲目物語」と銘打っているだけあって、舞台設定は「盲目物語」によく似ている。 ただ、座頭の一人語りという体裁で書かれた「盲目物語」と違い、「聞書抄」は過去のとある文献を準拠に谷崎が執筆したという構成になっている。この辺りはどちらかというと「春琴抄」や「少将滋幹の母」の作りに近い。 読み終えた印象は、残念ながら「盲目物語」に比べるとどうも弱い。「盲目物語」では、ひたすらお市の方に焦がれて生涯を送った老座頭の言葉で語られることで、戦国の世に生きた彼女の悲しくも美しい姿が明確に浮かび上がってきた。だが「聞書抄」では他のことに多く筆を割かれ、主人公と御台との描写は全体の中では僅かで、印象が薄い。 これは「盲目物語」との差異をつけたかったからかもしれないが、結果的に読み終えても何が物語の主題だったのかいまいち判然としなかったのはやはり残念。
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