怪物ガーゴンと、ぼく の商品レビュー
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原題はThe Gawgon and The Boy。髪が蛇の怪物はGorgonじゃないの?と思いつつ読み始めると、しばらくしてなぞは解ける。しょっちゅう言い間違いをしているおばさんが、間違って言ったのを少年が聞いて、そう呼ぶようになったのだ。 アリグザンダーは児童文学の作家なので、この本も児童書の棚に入っているのだが、これはどちらかといえば大人のほうが感動する物語だと思う。 アリグザンダー自身が齢80に近づいて、自分の人生を回顧し、自分が将来作家になる礎を作った女性のことをどうしても書いておきたくなったのだろう。しかし、老練な作家だから、起こったことをただそのままに書くわけではない。構成は巧みで、時代設定も変えてある。 自分を「透明人間」のように感じている思春期入口の少年と、奔放に生きてきた、辛辣で教養のある孤独な老婦人の交流だけでも、十分心に訴えるのだが、そのほかの登場人物もリアリティをもって生き生きと描き出される。 新しい事業を思いついては失敗している父。しっかり者で気の強い母。おしゃれや恋愛に夢中だが、家庭の事情には弟よりずっと敏感な姉。 ガーゴンだけでなく、戦争で戦友を殺さざるを得ず、心を病んでしまったキャプテン・ジャックや、故郷に帰れず悲しみを秘めるマルタおばさん、禁酒法時代に、こっそり一杯ひっかけては陽気にふるまったウィルおじさんなど、悲哀を胸に秘めながらも懸命に生きる大人たちの姿は心に残る。 さらに主人公が書いた小説まで入っているが、この小説が、ガーゴンと少年の交流や、ガーゴンが教えた歴史や文学作品がもとになっていて、作家が実際に起こったことをどのように物語に変えていくかがわかって面白い。 子どもが読んでも面白いとは思うが、人生の半ばを過ぎ、身近な人を失った経験がある大人には、本当に胸を打つ物語だと思う。
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ロイド・アリグザンダーの半自伝的小説。少年と老婦人との心の交流が暖かく懐かしく描かれている。彼の作品はいつも誰にでも優しい。そこを子ども向けの本の限界、と取る人もいるかもしれないけど、それは違う。 途中、メキシカン・ジャンピングビーンのくだりでやっと再読と気付いた!きっと子ども...
ロイド・アリグザンダーの半自伝的小説。少年と老婦人との心の交流が暖かく懐かしく描かれている。彼の作品はいつも誰にでも優しい。そこを子ども向けの本の限界、と取る人もいるかもしれないけど、それは違う。 途中、メキシカン・ジャンピングビーンのくだりでやっと再読と気付いた!きっと子どもの頃に読んだんだなーと思って奥付をみたら発行は10年くらい前…え、とっくに大人じゃん自分。もう自分の記憶力が当てにならない年齢にさしかかってまいりました。ブクログを付け始めてほんとに良かった…。
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波乱に満ちた人生を経験してきたにもかかわらず、今の状況を愚痴ることなく、病いによる苦痛をデビットに悟らせることもない、誇り高い‘ガーゴン’。作中に散りばめられた、デビットが作る‘おはなし’も楽しい。ちょっと風変わりな一族の、それぞれのエピソードも心に残る。しみじみとした、味わい深...
波乱に満ちた人生を経験してきたにもかかわらず、今の状況を愚痴ることなく、病いによる苦痛をデビットに悟らせることもない、誇り高い‘ガーゴン’。作中に散りばめられた、デビットが作る‘おはなし’も楽しい。ちょっと風変わりな一族の、それぞれのエピソードも心に残る。しみじみとした、味わい深い作品。
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