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中国の衝撃 の商品レビュー

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2009/10/04

タイトルから近年の「中国脅威論」を思い浮かべるかもしれませんがさにあらず、これまで中国の近代化の契機となったとされるアヘン戦争以後の「西洋の衝撃」論に対してつけられた表題であり、もとより中国に内在していた諸要因が中国の近代化を推し進めたという「内在的発展」論を提唱しています。しか...

タイトルから近年の「中国脅威論」を思い浮かべるかもしれませんがさにあらず、これまで中国の近代化の契機となったとされるアヘン戦争以後の「西洋の衝撃」論に対してつけられた表題であり、もとより中国に内在していた諸要因が中国の近代化を推し進めたという「内在的発展」論を提唱しています。しかもその「近代」とはヨーロッパ近代の“反”でも“超”でも“後”でもない、それとは異タイプの課程であり、中国の「自由」「民主」も中国の歴史過程の中から考察すべきであるとし、よって中国の「近代」とは西洋的なものとは違う、「もう一つの近代」としてアヘン戦争近代視座からの脱却を提唱しています。これまで語られ、今でも「民主化」などを語る場合の基準となっているのは間違いなく「西洋的近代」です。そうした視点から見ると中国は近代化が「遅れて」おり、「間違って」いるように見えます。しかし、そうではなく中国には中国的な近代があり、そういう観点から見ていかなければならないという意見は傾聴に値します。ただ、学問的にはそうかもしれませんが、中国はもはや「中国の中国」などではなく「世界の中の中国」である以上、世界共通の「民主」「自由」からも現代中国を見ていかねばならないというのも同時に感じました。

Posted byブクログ