ゴム時間共和国インドネシア の商品レビュー
著者のインドネシアでの生活をもとにインドネシアという国やその文化について述べた本。 主な要旨は以下3点で、 ・インドネシアは時間にルーズ ・インドネシアでは汚職が制度化されている ・インドネシアは多民族国家だが、激しい民族対立はない ということだ。 ーーー まずは表題に...
著者のインドネシアでの生活をもとにインドネシアという国やその文化について述べた本。 主な要旨は以下3点で、 ・インドネシアは時間にルーズ ・インドネシアでは汚職が制度化されている ・インドネシアは多民族国家だが、激しい民族対立はない ということだ。 ーーー まずは表題にもなっているインドネシアのゴム時間について。 インドネシアには「ジャムカレット(ゴム時間)」という言葉がある。 これは、決められた行事の日程がゴムのように伸び縮みすることを指しており、 インドネシアの国民性は時間にかなりルーズであると著者はいう。 『あなたはどれだけ待てますか』という本で紹介されたカリフォルニア大の調査では、 ・繁華街の歩く速度、 ・郵便局員の事務作業時間 ・公共の時計の正確さ を指標に、世界における時間の正確さを調査している。 この調査の結果、インドネシアはメキシコにつぐブービー(29位)。 世界的に見てもルーズな国だという。 一方、日本は、スイス、アイルランド、ドイツに次ぐ第4位で、上位とも秒単位差のトップクラス。 この時間にルーズな理由として、著者は植民地時代の弊害をあげている。 時間を守ってもいくら働いても同じであれば、時間を守る感覚はなくなる。 逆に字k難を守る意味がある人たち、例えばタクシーの運転手などは、時間に正確だという。指定した時間の30分前には来るそうだ。 ーーー 次に、インドネシアの汚職について。 インドネシアでは長期政権が樹立していたこともあり、汚職にも年季が入っているという。 「バパイズム(おべっか)」という言葉があり、役人は上司のご機嫌取りをする。 とある行事では、もともとは14字開始の予定であったのが、それぞれの部門の担当者が「バパイズム」により少しずつ時間を繰り上げ、結局は開始は5時間早い9時と誤認されてしまったという。 そして、予定時間に政府の要人が到着したときには、要人は来なかったものとして、すでにみんな帰ってしまっていたという笑い話があるほどだ。 また、インドネシアでは警察官などによる汚職も盛んで、ビザの発行から交通整理まで、制度化された汚職があるという。 著者は、「インドネシアでは役人が「私的」に累進課税してくる」と表現しており、これはうまく言うものだと思った。 ーーー 最後に民族の対立について。 インドネシアは大小さまざまな島があり、民族の数も多い。 ただ、報道により過剰に描かれている面が多く、実際には大規模な民族対立はあまりないという。 インドネシアにいるジャワ人、スンダ人、ミナンカバウ人などマレー系はほとんど区別がつかず、他民族、多民族国家であるインドネシアでは、初対面の人同士が、 「君、何人?」 という会話を、日本で言う出身の話題のように気軽にするという話は面白い。 本書では、インドネシアの良い面も悪い面もいろいろと書かれているが、全体として著者のインドネシアへの愛にあふれている。 卓上旅行として読んだが、ゆるやかで多様性のあるインドネシアを体感できて面白かった。 インドネシアに興味のある人はぜひ読んでみてほしい1冊。
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キリスト、ヒンズー、仏教、土着の信仰など多様な宗教を信じる複雑な多民族、多宗教国家をひとつにまとめるにはイスラム以外の諸宗教が反発する条項を盛り込むと国家の独立を目指す民族団結にヒビが入りかねない。その判断が独立指導者の中にもはっきりとあった。 1575年にやってきたスペイン人が...
キリスト、ヒンズー、仏教、土着の信仰など多様な宗教を信じる複雑な多民族、多宗教国家をひとつにまとめるにはイスラム以外の諸宗教が反発する条項を盛り込むと国家の独立を目指す民族団結にヒビが入りかねない。その判断が独立指導者の中にもはっきりとあった。 1575年にやってきたスペイン人がアフリカのギニア人と似ているので、ニューギニアと名付けた。 インドネシアでは貧しい人が決定的に追い詰められていない。
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