アジア・オセアニアの高等教育 の商品レビュー
本書が刊行されたのは2004年であり、そのときからだいぶ時間も経過し、アジアの高等教育の様相はさらに発展したものとなっているが、概要を把握するにはとても参考になる内容となっている。 他の国の高等教育政策と日本のそれを比較すると、予想以上にアジアの高等教育は大衆化し、充実したものと...
本書が刊行されたのは2004年であり、そのときからだいぶ時間も経過し、アジアの高等教育の様相はさらに発展したものとなっているが、概要を把握するにはとても参考になる内容となっている。 他の国の高等教育政策と日本のそれを比較すると、予想以上にアジアの高等教育は大衆化し、充実したものとなり、世界に通用する拠点作りを各国が国をあげて取り組んでいることがわかる。 例えば、中国では「科教興国(科学と教育による興国)」、韓国では「頭脳韓国(BK Brain Krea)21世紀事業」といった政策が科学技術政策に注力している。 また、昨今に日本で話題になっている大学の種別化は、韓国では2000年から機能別・役割に応じて類型化し、国立大学を統廃合を進めている。この点では韓国が先進している。 マレーシア、タイ、インドネシアも、目を見張るグローバル化の進捗がある。トゥイニング・プログラムはいずれの国でも実施されている。 インドも学生数の面では「大高等教育国」だ。 シンガポールの高等教育機関は海外から「知的移民」を調達する役割を期待されている。education hubとして外国の大学のキャンパスを誘致し、交換留学プログラムを奨励し、国際化を促進している。 このようにアジア域内の教育・学術交流は、極めて積極的である。今回の震災により日本への留学生は激減するかもしれないが、中長期の視点でどう国際交流を考えるかが問われている時期だろう。
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