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正義と不自由 の商品レビュー

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2019/08/04

『ポスト・モダンの左旋回』(2004年、世界書院)とおなじテーマをあつかった本で、1997年から2004年にかけて発表された論文を集めています。 リベラリズム、リバタリアニズム、コミュニタリアニズムの鼎立するアメリカの現代政治思想の流れを簡単に整理したうえで、ローティやデリダ、...

『ポスト・モダンの左旋回』(2004年、世界書院)とおなじテーマをあつかった本で、1997年から2004年にかけて発表された論文を集めています。 リベラリズム、リバタリアニズム、コミュニタリアニズムの鼎立するアメリカの現代政治思想の流れを簡単に整理したうえで、ローティやデリダ、あるいは彼らの影響を受けたポストモダン左派の論者たちの仕事を紹介し、さらに現代のドイツにおける右派論壇や日本の左派論壇の動向についてもわかりやすく解説しています。 著者の得意とする左派への皮肉な語り口はあまり見られず、むしろ「絶対的正義」を標榜するアメリカに感じる「不気味さ」を率直に表明しているところなど、すこし意外に感じましたが、上のような著者の態度が気に入らないという読者にとっては、比較的読みやすいかたちで著者の基本的な思想を知ることができる本になるのではないかと思います。

Posted byブクログ