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言論統制 の商品レビュー

3.7

11件のお客様レビュー

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2023/02/28

http://blog.livedoor.jp/yamasitayu/archives/51708989.html

Posted byブクログ

2023/06/13
  • ネタバレ

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言論統制―情報官・鈴木庫三と教育の国防国家 (中公新書) 新書 – 2004/8/1 何かを言い残そうとしながらも沈黙した、その人の声 2014年2月25日記述 京都大学准教授の佐藤卓己氏による本。 2004年(平成16年)8月発行。 鈴木庫三という人物について徹底的に研究した本。 と言っても大学受験時に日本史Bを選択し得意科目と自負していたけど まだまだ知らない人物一杯いるなーと改めて思う。 戦後掌を返したように叩かれた人物でもある。 しかし反撃手段が無く沈黙を守るしか無かった。 石川達三氏の風にそよぐ葦の佐々木少佐のモデルとして扱われたこともあり悪印象を持たれている。 しかし実際の鈴木庫三はまるで違う性格の人物であったという。 カントを原書講義する学者のような陸軍軍人。 当時から今に至るまで相当珍しい人物であると思う。 戦後に誤解され続けたけれども本人が残した大量の日記資料、著作が佐藤卓己氏によってようやくありのままの鈴木庫三が浮かび上がったのだ。 極貧の小作農からの立身出世の生い立ちを読んでいると真の努力家であると思わずにはいられない。 陸軍に入った後も日本大学文学部(当時は夜間過程)、 東京帝国大学陸軍派遣学生として3年間の勉強。 教育の国防国家建設。そして日本の改造のために必要な改革は何か。 当時の戦争を行う側の思い、論理などが透けて見えてくる。 教育問題に関する疑問・・英語教育(10年近く勉強しても実践力のない問題)や風紀(髪を染め上げる人達への思い)などの感想は現代日本にそのまま通じる事には驚く。 もうひとつ強調しておきたいのは鈴木倉三を戦後糾弾した人々。 裏付けなしに一方的に片方の証言のみでそれを真実と思ってはいけない。 当たり前の事ではあるのだが・・・・ 今問題になっている旧日本軍慰安婦問題での90年代の調査も同様だ。

Posted byブクログ

2020/04/27

旧日本軍による言論統制、知識としては三谷幸喜の「笑の大学」くらい。そんな程度で読んでみた。 タイトルが「言論統制」なんだけど中身は鈴木庫三一代記でまず鈴木庫三が情報班に入る前の話で半分使ってるのはどうなのか。いや、貧乏な子が勉強、立身出世するには軍隊ってロールモデルとしてオモロい...

旧日本軍による言論統制、知識としては三谷幸喜の「笑の大学」くらい。そんな程度で読んでみた。 タイトルが「言論統制」なんだけど中身は鈴木庫三一代記でまず鈴木庫三が情報班に入る前の話で半分使ってるのはどうなのか。いや、貧乏な子が勉強、立身出世するには軍隊ってロールモデルとしてオモロいけどさ、タイトル詐欺感無きにしも非ず。しかも半分から情報班の話かと思ったら案外すぐ異動。いや、そこもっと読みたいやん。オモロいけど何かもの足らん感じは否めず。

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2020/02/11

本居宣長や菅原道真は「天才」だが、鈴木はそうではない。あるいは秀才であり、あるいは凡才かもしれないが、そこに自分の姿を重ね見ることも困難ではあるまい。 彼は和辻にはなれなかった。されど、僕も和辻にはなれないのである。

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2017/01/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2004年刊行。著者は京都大学大学院教育学研究科助教授。日中戦争・太平洋戦争初期、「日本のヒムラー」「日本思想界の独裁者」とされた、情報局情報官鈴木庫三。彼の実相と名誉回復を図る書。確かに人格は高潔、一言居士で陸軍上層部への批判も手厳しい。が、人格面はともかく、その職責は陸軍検閲官で、どうみても強者の側。彼に対して、接待し、出版依頼で機嫌とりに雑誌・新聞側が奔走するのもその証左。また、陸軍内での批判的言説はコップの中の嵐で、自由主義者への敵視・蔑視・偏見、検閲に何の疑義を持たない点は他の軍人と変わらない。 その意味で、鈴木の名誉回復を意図した著者の思いは不奏効。加えて、本人の日記をベースにしすぎであり、自身の不都合性が書かれない日記でその業績を問い直すのは些か乱暴。クロスリファレンスの必要性を強く感じる。ただ、本書は、鈴木庫三の別面、つまり、陸軍内の教育革新者としての側面を丁寧に開陳し、これこそ有益な価値を持つ。本書は陸軍の軍隊内教育の実相も解説しており、2、3章は他書に見ない内容である。

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2014/10/23

巻末の鈴木庫三年賦を見ていただきたい。小学校卒から19歳までの空白の期間を経てその後30歳に日本大学に入学するまで、学校教育をほとんど陸軍内の学校で受けている。格差が激しく本人の経済的に恵まれない出自の中で相当な努力をもって地位を築いていったことに大変驚く。貧しくとも実力のある若...

巻末の鈴木庫三年賦を見ていただきたい。小学校卒から19歳までの空白の期間を経てその後30歳に日本大学に入学するまで、学校教育をほとんど陸軍内の学校で受けている。格差が激しく本人の経済的に恵まれない出自の中で相当な努力をもって地位を築いていったことに大変驚く。貧しくとも実力のある若者にとっての軍が上級学校の役割を担っていたという話をよく聞くが、その典型的なパターンを鈴木庫三が踏襲していたことがわかる。 そのような鈴木の思想信条は公平な社会の創造であった。貧しいものと富めるものとの差異を意識せざるを得なかった。だからその解消のために教育を重要視するし、資本主義の手先である出版社に手厳しい。個人的に鈴木に抱いたイメージは残された皇道派だった。ただし社会変革を求めていることに変わりがないが、暴力ではなく組織から社会から変えて行こうという意思を強く感じる。それは大学を主席で卒業したり、東京大学で学んだりしてきたことと無縁ではないのだろう。 戦後に出版界は散々鈴木を指弾してきたというが、プロレタリアの視点から公平な社会を目指す鈴木像を全く無視すれば無視するほど、まさに出版社の戦前の行いについて自己正当化の誹りを免れることはできない。

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2014/11/29
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「検証 防空法」からの流れで、言論・出版統制について知ろうと、以前からチェックしていた本書を読んだ。しかし、題名とは違い、自分が知りたい内容とは異なっていた。さらにしかし、本来の目的とは別の面白さに引かれた。それは、本書が副題にある鈴木庫三の伝記だったからである。 「三つ子の魂百まで」とはよく言ったものだ。今でも伝記が好きなことに改めて気づいた。TVでトーク番組が好きなのも同じ理由なのだろう。 戦前の、典型的な、極貧の、努力による、立身出世物語である。いつもかみさんに自分の幼少時代の貧しさを語ると笑われるが、こうした物語を読むにつけ、貧しさのレベルが違うことに気づかされるとともに、自分の意思の弱さ、やる気のなさを思い知らされる。

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2012/07/11

必要に迫られて読んだ。 鈴木庫三という人物についての本。歴史的資料を用いて、どのような人物であったかをできるだけ正確にたどろうとしている。それだけ、虚言をもって書き残された人物らしい。 理系人間としては非常に読みづらい。 専門的な用語が多用されているため、簡単には読み進めるこ...

必要に迫られて読んだ。 鈴木庫三という人物についての本。歴史的資料を用いて、どのような人物であったかをできるだけ正確にたどろうとしている。それだけ、虚言をもって書き残された人物らしい。 理系人間としては非常に読みづらい。 専門的な用語が多用されているため、簡単には読み進めることができない。 僕向けの本じゃないなって思った。 (読みやすさを感想に入れるのは、読みやすい本しか読まないという傾向の若者らしい見方かもしれない。) そして論理もついていきにくい。筆者の脳内では完成された論理かもしれないが、読者には飛躍しすぎているように思えた。 いきなり変な文章が出てきて、「は?」と思うこともしばしば。そして少しあとに「ああ、そゆこと」ってなった。非常に読みづらい。せめて、接続詞的なものをつけてくれればわかるのに。 どのような人に向けて書かれたのかが気になるところ。歴史マニアだろうか。歴史学者だろうか。一般人だろうか。若者だろうか。 疑問が残る。 ただ個人的には尊敬する学者の方なので、僕の考えの及ぶ範囲外に何かはあると思う。これはあくまで僕のレベルから見た評価である。

Posted byブクログ

2011/03/29
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[ 内容 ] 言論界で「小ヒムラー」と怖れられた軍人がいた。 情報局情報官・鈴木庫三少佐である。 この「日本思想界の独裁者」(清沢洌)が行った厳しい言論統制は、戦時下の伝説として語りつがれてきた。 だが、鈴木少佐とはいったい何者なのか。 極貧の生活から刻苦勉励の立志伝。 東京帝国大学で教育学を学んだ陸軍将校。 学界、言論界の多彩なネットワーク。 「教育の国防国家」のスローガン。 新発見の日記から戦時言論史の沈黙の扉が開かれる。 [ 目次 ] 序章 『風にそよぐ葦』の神話 第1章 立志・苦学・軍隊 第2章 「教育将校」の誕生 第3章 昭和維新の足音 第4章 「情報部員」の思想戦記 第5章 「紙の戦争」と「趣味の戦争」 終章 望みなきにあらず [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2009/10/04

 これまで被害者側からのみ語られてきた戦前の言論弾圧の有様を加害者側に焦点を当て、特に弾圧者として「有名」を馳せた軍人・鈴木庫三の実像を詳細に描くことによって解き明かしています。  歴史をよむということは、まさにこういうことなのだろうと、読み始めたら止まらないおもしろさ。同時に...

 これまで被害者側からのみ語られてきた戦前の言論弾圧の有様を加害者側に焦点を当て、特に弾圧者として「有名」を馳せた軍人・鈴木庫三の実像を詳細に描くことによって解き明かしています。  歴史をよむということは、まさにこういうことなのだろうと、読み始めたら止まらないおもしろさ。同時に、戦前戦後を通してマスメディアの姿勢というのは基本的に不変なのだと痛感させられました。  一般に知らせ解き明かすことこそマスメディアの信条かのように思ってますが、その行為は、必然的に知らせなかったこと・解き明かさなかったことを生む。つまりは隠蔽することと同在しているのですね。しかも、前者を掲げて、実際には後者を積極的に推し進めすことすら可能です。どちらにしても意識をもって行うのであれば、端からも見透かしやすいのでしょうが、問題なのは無意識の行為の場合。ある考え方・ものの見方がパラダイム(共通意識)として固定化されてしまうと、そこからぬけだすことはとても大変なことなのだと思う。この本を読んでいて、あっまた思い込みだけで物事知ったつもりでいたと痛感させられました。

Posted byブクログ