質屋の女房 の商品レビュー
母親への義務感と自己嫌悪に苛まれる、童貞の苦悩の結晶みたいな短編集。陰気さと笑いと愛憎のどっちつかずなバランスがおもしろい。処女作「ガラスの靴」の別次元の世界観は、いまなお新鮮で抜群にクール。
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初挑戦の純文学物でした。 読み易く、理解もできました。 短編集なので、主人公は異なり、1編1編は面白いのですが、似たような心情が繰り返されていたので、1冊読み終わる頃には、ちょっと食傷気味な感じになりました。
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男になるための通過儀礼には二種類あって ひとつは女、もうひとつは戦争なんだけど 結局、敗戦でなにもかもご破算になってしまったわけで 結局、最後に残された、ギリギリ人間であるための手段は 「裏切り」にあったように思う 母を裏切り、友を裏切り、自分を裏切ることで かれはこのどうしよう...
男になるための通過儀礼には二種類あって ひとつは女、もうひとつは戦争なんだけど 結局、敗戦でなにもかもご破算になってしまったわけで 結局、最後に残された、ギリギリ人間であるための手段は 「裏切り」にあったように思う 母を裏切り、友を裏切り、自分を裏切ることで かれはこのどうしようもない戦後日本と自分を やっと相対化することができるんだ でもそれはやっぱり倒錯でしかないよなあ、とも思った
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第17回:安岡章太郎 『質屋の女房』 http://ameblo.jp/pippu-t-takenoki/entry-10002963715.html
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悪い奴じゃない、でも、良い人にもなれなかった…。安岡章太郎の小説っていうのは、そういうどっちつかずの人間の悩みが描かれている。さて、そういう半端な人間の王様といえば、やっぱり童貞だ。ここに収録された主人公達も実は皆童貞だ。ものすごく童貞について悩んでる。この本は「童貞傑作選」と...
悪い奴じゃない、でも、良い人にもなれなかった…。安岡章太郎の小説っていうのは、そういうどっちつかずの人間の悩みが描かれている。さて、そういう半端な人間の王様といえば、やっぱり童貞だ。ここに収録された主人公達も実は皆童貞だ。ものすごく童貞について悩んでる。この本は「童貞傑作選」と呼んでも過言ではない。 それはさておき、中でも安岡は「家族」のうまくいかない感じにわりとこだわっている。この問題、古く見えるかもしれないけれど、全然古くないと思う。と言うのは、確かに父権性とか家族主義っていうのは、昔に較べたらゆるくなってきた。だけど心のどこかで「でもやっぱりおれ家族の中で育ったんだよ」っていう気持ちが、まだどこかに残っている。安岡はそれから逃げれなかった。古くさい家族主義から逃れられずにいる苦しみ。たとえば母親を嫌いつつも、母から離れられない。二人は父を共に嫌うことで、蔭で手を組んでいる…。安岡はやっぱり、微妙な関係を描くのがうまいのだ。 (ただし私小説作家共通の欠点か、たいしたことないのをウジウジ悩みすぎる、という傾向はやはりあるかもしれない。そういうのが苦手な人は、読むのが辛いか)(けー)
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