ちがうもん の商品レビュー
「受難」「ツ、イ、ラ…
「受難」「ツ、イ、ラ、ク」「ハルカ・エイティ」と過去3作品が直木賞にノミネートされた著者による、「幼少時代の記憶」をモチーフにした短編集。舞台は主に昭和中期の片田舎ですが、ここに登場する子供は、自然の中でノビノビと育った純真無垢な、といった大人が好んで描く理想的なタイプの子供では...
「受難」「ツ、イ、ラ、ク」「ハルカ・エイティ」と過去3作品が直木賞にノミネートされた著者による、「幼少時代の記憶」をモチーフにした短編集。舞台は主に昭和中期の片田舎ですが、ここに登場する子供は、自然の中でノビノビと育った純真無垢な、といった大人が好んで描く理想的なタイプの子供ではありません。著者は、昔の日本を美化して振り返るでもなく、幼少時代をただ微笑ましいものとして懐かしむでもなく、そこにあったやるせなさや痛みや風景を、落ち着いた文体で丁寧に描いています。「泣ける」というよりは「
文庫OFF
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※このレビューにはネタバレを含みます
【本の内容】 1960年代、まだダサかった日本。 関西の田舎町。 3歳の少女はなぜ「特急こだま」の玩具を買ってもらったのか。 4歳の少女はオバサンが何をしているのを見たのか。 6歳の少女は夏休みにどんな初体験をしたのか…。 こどもだったからこそ鮮明に焼きついた記憶。 大人のためのリアルな童話とも言うべき短編集。 [ 目次 ] [ POP ] 1960年代に子供時代を過ごしたこと、自然がいっぱいの長閑な田舎町。 都会に暮らす大人にとっては美しく懐かしいもの、古き良きものの象徴と呼べるそれらを、徹底的に否定することがこの短編集の根底にはあるように感じます。 五つの物語の主人公は、みな京都やその周辺に故郷を持ち、今は東京で暮らす40代中盤の独身女性。 日常を生きながらも、ふとあの頃…、自分の子供時代に迷い込んでいきます。 彼女たちは、過去を振り返るわけではないのです。 唐突に、子供時代のある場面が発生してしまうのです。 だから子供時代を懐かしめない、自分がなじめなかった故郷を大人になってもやっぱり好きになれないでいます。 ふと懐かしんでしまいそうになる自分をストイックなまでに戒めているようにも見えます。 感傷に浸らず過去を見つめること、それは自分の人生を尊ぶことと通ずるように思いました。 [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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読み応えがあった。短編集なんだけど、1話1話が長編並の密度です。うん。濃い。 子供のころ感じていた「大人の言う子供らしさってどうにもおかしいな」という違和感を形にさせられられた感覚です。ぞわぞわする。
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(旧題 特急こだま東海道線を走る) 昭和30年代に子供時代を過ごした人にはおすすめ。子供の目から見た時代の空気、高度経済成長につきすすむ日本の原風景を見事に表現した情感あふれる逸品。
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1960 年代、まだダサかった日本。関西の田舎町。3歳の少女はなぜ「特急こだま」の玩具を買ってもらったのか。4歳の少女はオバサンが何をしているのを見たのか。6歳の少女は夏休みにどんな初体験をしたのか…。こどもだったからこそ鮮明に焼きついた記憶。大人のためのリアルな童話とも言うべき...
1960 年代、まだダサかった日本。関西の田舎町。3歳の少女はなぜ「特急こだま」の玩具を買ってもらったのか。4歳の少女はオバサンが何をしているのを見たのか。6歳の少女は夏休みにどんな初体験をしたのか…。こどもだったからこそ鮮明に焼きついた記憶。大人のためのリアルな童話とも言うべき短編集。
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