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ブラームス回想録集(第3巻) の商品レビュー

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2019/10/29

シューマン夫妻の娘、友人の作曲家、評論家、唯一の弟子などの人々がブラームスを回顧している。 ロベルト・シューマンの死後も、ブラームスは頻繁にシューマン家を訪れ、一家の面倒を見たようだ。娘や作曲家たちにとっては、謙虚でユーモアもある尊敬できる人間であったようだ。シューマンの子どもた...

シューマン夫妻の娘、友人の作曲家、評論家、唯一の弟子などの人々がブラームスを回顧している。 ロベルト・シューマンの死後も、ブラームスは頻繁にシューマン家を訪れ、一家の面倒を見たようだ。娘や作曲家たちにとっては、謙虚でユーモアもある尊敬できる人間であったようだ。シューマンの子どもたちは、ブラームスが大好きだったという。友人たちの間では、大勢の中では無口だが、親しくなると冗談も飛ばした。クララ・シューマンとは、ときには喧嘩もした。でも、きっと敬愛ばかりではなく愛していたんだろうなあ。ワーグナーとは対立していたように思われていたが、実際は評価していて、ワーグナーの死に際しては花輪を送ったが、遺族のコジマからは無視されて傷ついたらしい。 女流作曲家で女権運動家のエゼル・スマイルによるブラームス評は辛辣である。「その人柄に感銘を受けたことも、惹かれたこともない。なぜ信奉者たちが彼の知性をあれほど誉めそやすのか、どうにも理解できなかった。無口で気まぐれ、会話が続かないので有名だった。」と言い、話すことも誰かの受け売りばかりだったという。女性蔑視の考えの持ち主で、ただクララと旨い料理を提供してくれるヘルツォーゲンベルク夫人にだけは、非の打ちどころのない態度だったらしい。 弟子のグスタフ・イェンナーには、非常に厳しい師匠だったようで、毒舌の大爆発である。しかし、イェンナーの師に対する尊敬はずっと変わらず、いろいろな曲の分析をたくさん教えてもらったという。最後にイェンナーの文章からひとつ。「自分が誤解されているのがわかると、それをさらに助長してやるのがブラームス先生の趣味だったのだ。『真実は一粒の真珠。豚にやるな』という言葉は巨匠の金言であった。」 いやあ、実に面白い本であった。

Posted byブクログ

2014/10/01

自らの作品に対する厳しい姿勢や真に優れたものに対する崇敬と憧憬の念,うわべだけ立派で内容空疎なものへの容赦ない発言などを読むにつけ,天才の真贋を見極める能力に驚かされる。また,弟子イェンナーの回想録は,学習者が持つべき覚悟と心構えが書かれており大変ためになる。この部分だけでも一読...

自らの作品に対する厳しい姿勢や真に優れたものに対する崇敬と憧憬の念,うわべだけ立派で内容空疎なものへの容赦ない発言などを読むにつけ,天才の真贋を見極める能力に驚かされる。また,弟子イェンナーの回想録は,学習者が持つべき覚悟と心構えが書かれており大変ためになる。この部分だけでも一読してもらいたい。 *推薦者(工教)S.I *所蔵情報 https://opac.lib.utsunomiya-u.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB00365483&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

Posted byブクログ