肉中の哲学 の商品レビュー

ジョージレイコフ(著者),マークジョンソン(著者),計見一雄(訳者)

2024/08/04

人間の認知行動は身体的な知覚運動に基づくという身体的認知を論じた本である．著者のジョージ・レイコフはカリフォルニア大学バークレー校で認知言語学を教えている教授で，マーク・ジョンソンとの共著の「レトリックと人生」で有名である．彼は人間の言語にとどまらず思考においても，抽象的概念は肉体的動作をメタファーとして作られていると主張する．例えば，分析は「容器で括る」こと，統合は「経路で繋ぐ」ことをメタファーとする(例えば，経営学は社会科学に「含まれる」，これらのアイデアを介して目標に「到達する」)．この本では，以上のようなメタファーに基づく身体的認知により，アリストテレス，デカルト，カント等の伝統的西洋哲学を解釈してそれらの課題を述べている．