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読むことの力 の商品レビュー

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3件のお客様レビュー

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2021/09/25

「読む」というテーマで行われた13の講義。 絞られているようで、物凄く広いテーマ。 13の講義の方向性はどれも全く違います。 「声を出して読むことの意味」 「翻訳は全て誤訳」 春画も写真集も読む読む。 あの有名なタコの春画。 描いたのは北斎で。 後ろに書かれてる文字は、タコさんの...

「読む」というテーマで行われた13の講義。 絞られているようで、物凄く広いテーマ。 13の講義の方向性はどれも全く違います。 「声を出して読むことの意味」 「翻訳は全て誤訳」 春画も写真集も読む読む。 あの有名なタコの春画。 描いたのは北斎で。 後ろに書かれてる文字は、タコさんのセリフなんですけど、なんかもうこれ、現代でもありそうなエロ漫画のセリフですね。 擬音が凄すぎる。

Posted byブクログ

2014/05/13

読書をテーマにした講演の数々。平家物語のように昔の日本文学は詠むものだった、から始まる。和歌や俳句もそうだったが、それを歌わない歌を前提に変えたのが子規の誤りだった!ゆっくりと響きを楽しみながら読むということがなくなり、お利口になっても豊かな人間にならなくなってしまったとの指摘は...

読書をテーマにした講演の数々。平家物語のように昔の日本文学は詠むものだった、から始まる。和歌や俳句もそうだったが、それを歌わない歌を前提に変えたのが子規の誤りだった!ゆっくりと響きを楽しみながら読むということがなくなり、お利口になっても豊かな人間にならなくなってしまったとの指摘は鋭い。本の装丁を仕事にする人の文章も楽しい。本をイメージすること、からタイトルの書体、デザイン、腰巻きその他の装丁は始まるのだ。翻訳者の作者と読者の間の立ち位置、確かに読者代表であるべき。新約聖書の奇跡物語から読むべき「心」、本居宣長にとっての記紀を読むこと、陶淵明・蘇軾の隠者の読書の系譜上にあるこの2人の繋がりなど、橋本佐内が書いている美人図を読むこと、江戸時代の春本を「読む」こと、中世欧州の遺言書についてなど実に多彩なテーマで変化に富み、楽しい!

Posted byブクログ

2013/05/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『読むことの力』 ロバート・キャンベル 伝統的には、「語る」「咄す」「歌う」「謡う」「吟ずる」、みな読書ということを考える場合の重要な要素でありました。(p13) ★音読、黙読という括りより大きな意味でとしてはそうとれるのかもしれない。 つまりゆっくりと音楽的に朗読しながら、同時にその孤独感悲壮感なんかも味わわれたということです。(p23) ★黙読により、意味を理解し読むことができるようになり、読む速度は速くなった。だが失われる要素ということもある。それが書かれている。 文学の中では超自然的な、霊異の出現する場としてしばしば橋が使われます。だからそれが夢の世界のしかも空中の橋となると そこにこの世ならぬ不思議な美しさを感じさせたにちがいありません。(p31) ★『新古今集』藤原定家 「春の夜の夢の浮橋とだえして峰にわかるる横雲の空」 を例にだして。橋はキーワードの一つだろう。向こう側とこちら側を繋ぐもの。境界である。 たとえば電車の中でササッと黙読しているような読み方だったら、おそらく日本の文章の表現としての豊潤さ、そのイメージの豊かな良さがすっぽりと抜け落ちてしまう。(p35) ★速くなる世界で、時間をかけてゆっくりとは難しくなってゆくだろう。 ただ文字を読むだけの読書、それでは、「お利口」になるかもしれないけど、「豊かな人間」にはなかなかなれますまい。(p36) ★心に留めておきたい一文。何の為に読むのか。 ある一節があって、その一節が何かを「言わんとしているか」読み手にわからないとすれば、その「わからなさ」も作品の一部だと思うからです。ひょっとしたら、その「わからなさ」こそその一節の強味かもしれないし、読者にとっての魅力の一部かもしれない。(p75)

Posted byブクログ