Points of View 視線の変遷 の商品レビュー
烏兎の庭 第五部 書評 1.27.16 http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto05/diary/d1601.html#0127
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ふと人類がいなくなる、なんらかの理由で。神である私。地球という名前の箱庭を覗く。そういった作業を繰り返しているような錯覚が寂しかった。建造物はまるで祈りのようだ。実は何点かの作品を美術館で見たことがある。その時には「再生」を感じたのだが、こう連続で見る作品には再生に至る前の「祈り...
ふと人類がいなくなる、なんらかの理由で。神である私。地球という名前の箱庭を覗く。そういった作業を繰り返しているような錯覚が寂しかった。建造物はまるで祈りのようだ。実は何点かの作品を美術館で見たことがある。その時には「再生」を感じたのだが、こう連続で見る作品には再生に至る前の「祈り」であるかのような無を感じた。伸び行く先は、未来だろうか過去だろうか現在だろうか。
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大好きなアーティストのひとり。 画家というか彫刻家というか分からないけどとにかくすごい造形力。 建築家はこんな造形力がなければ造形するなと思う。
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どこかにある、あったかもしれない景色。 年代毎に並べられた野又氏の作品群。 最初は荒涼とした土地の晴れ渡る空の下に不思議な塔が立っている作品から始まる。 塔の一部はドールハウスのように内面が見えるよう開放されて描かれており、塔のもつ閉鎖的なイメージを取り払っている。 入り口と数...
どこかにある、あったかもしれない景色。 年代毎に並べられた野又氏の作品群。 最初は荒涼とした土地の晴れ渡る空の下に不思議な塔が立っている作品から始まる。 塔の一部はドールハウスのように内面が見えるよう開放されて描かれており、塔のもつ閉鎖的なイメージを取り払っている。 入り口と数個の窓しかない塔は何を目的として立てられたのか分からない。 上った先にはただ旗がはためくのみ。そう、この塔は上るために建てられたのだとそのとき知る。 そんな塔の群れがだんだんとオブジェへと変わっていく。 ランドマークのような意味合いしか持たないように見える建造物はそれこそ目印以外の役割を果たせるのか疑問に思う。 巨大な風車を持つものもあるが、それはただ回る事を目的として造られたようだ。 上る事も拒否し、ただ眺める事しか出来ない建造物。 それらの一群の後にやってくるのが植物を内包した建て物たちだ。 ガラス張りの壁の中にあるのは鬱葱と茂る植物達。パリ万博のガラス宮を思わせる建造物はまるで温室だ。 これまでの無機質なイメージからだんだんと生物の気配が感じられるものへと移り変わってきた。 自然の景観を利用して溶け込むように建つ橋や塔。 そして、植物を守るようにして建つガラス宮。 建物は使われないとだめになっていく、という言葉があるが、その通りに建物と植物が共生している場面を写し取っている。 どこにもないと知りながら、どこかにあるのでは、と思わせる作品たち。
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父に誕生日プレゼントにがめつくねだりました。「文學界」の表紙描いてた(る?)人ですね。無人の静かな建築物。放棄されたのか、はたまた遠い未来にその役目が解明されるのか、謎めいた用途不明のそれら。美しい空の広がるただ中に、それは意味も、役目も失って、純粋に立ち尽くしています、軽やかに...
父に誕生日プレゼントにがめつくねだりました。「文學界」の表紙描いてた(る?)人ですね。無人の静かな建築物。放棄されたのか、はたまた遠い未来にその役目が解明されるのか、謎めいた用途不明のそれら。美しい空の広がるただ中に、それは意味も、役目も失って、純粋に立ち尽くしています、軽やかに。見つめていると安心感と心地よさが痺れるように広がります。頭の中にはラピュタのオープニング曲が・・・。一人きりの場所へ行ける画集です。
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野又穫は純文学誌『文學界』の表紙でも有名な空想建築を描き続けている画家。人間の全く登場しないその絵には未来性と同時に廃墟のような雰囲気も漂っており、その背反に惹かれる。そして人間の不在はいやおうなしに人間について考えさせる。
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