唐衣 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
戦国や江戸時代の本は多いけれど、この時代の物語になかなか出会えず、随分久しぶりの万葉の物語。 夫から引き継いだ藤原京を見下ろす、持統。 文武の后に仕える由伎女。 留学先で定住を決めた弁正。 帰国の決まった遣唐使、玄昉。 悲田院で光明子を見つめる理苑。 頼りない夫に振り回される夫人。 孝謙天皇の異母姉、井上内親王。 最後の場面でハッと息を飲むような物語たち。 見栄、嫉妬、焦燥。 ある者は全てを失い、ある者は大きな権力を手にする。 歴史に登場する名君たちも名もなき彼女らも、大渦に巻き込まれるかのよう。 どの物語も孤独でせつない。 幸せってなんだろう。
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