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芭蕉と俳諧史の展開 の商品レビュー

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2020/06/08

松尾芭蕉と蕉門俳諧を、俳諧史の潮流の中に置いてその位置づけを明らかにする論文集です。 著者はまず、芭蕉以前の俳諧史から蕉門俳諧へと展開していく流れを明らかにしています。貞門・談林俳諧では、俳言などを用いることによる言語遊戯が求められていたのに対し、芭蕉が文体によって一句ごとの風...

松尾芭蕉と蕉門俳諧を、俳諧史の潮流の中に置いてその位置づけを明らかにする論文集です。 著者はまず、芭蕉以前の俳諧史から蕉門俳諧へと展開していく流れを明らかにしています。貞門・談林俳諧では、俳言などを用いることによる言語遊戯が求められていたのに対し、芭蕉が文体によって一句ごとの風体の芸術性をつくり出したことに、その意義を見いだします。また、雅から俗へと進んできた俳諧史に、ふたたび雅を取りもどし、新しい次元でその統一をおこなったと評価します。 また著者は、前著『表現としての俳諧―芭蕉・蕪村』(2002年、岩波現代文庫)につづいて、俳句における「笑い」の分析をおこないます。本書ではとくに蕪村と一茶について、立ち入った議論がなされています。 このほか、『おくのほそ道』の受容史や、支考にはじまる美濃派の形成、さらに地方雑俳についての研究もおこなわれています。また本書の第9章は、俳論史・俳文史の文献集成になっています。わたくしのような一般の読者にはよくわかりませんが、おそらく研究者にとっては重要な意義をもつものなのではないかと思います。

Posted byブクログ