香乱記(下巻) の商品レビュー
下巻の主人公はまさしく田横でした。
田横の生き方や思想、愛と憤怒、全てに於いて「これぞ王者、覇王である」と宮城谷文学の中で最も美しく潔い感動に哭いて読了した。単純馬鹿と嗤われても嗚咽が止まらなかった。しかし、既に「劉邦」全3巻購入済みであるのに、本作での劉邦の劉備玄徳に負けない偽善&騙し屋ぶりに、すっかり読む気が萎...
田横の生き方や思想、愛と憤怒、全てに於いて「これぞ王者、覇王である」と宮城谷文学の中で最も美しく潔い感動に哭いて読了した。単純馬鹿と嗤われても嗚咽が止まらなかった。しかし、既に「劉邦」全3巻購入済みであるのに、本作での劉邦の劉備玄徳に負けない偽善&騙し屋ぶりに、すっかり読む気が萎えた。田横と蘭の子のその後も非常に気になるが、ヒントの欠片もないのが残念無念。
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どうにも読みずらく時間がかかった。 この人の作品では「晏子」「介子推」は読みやすく、「孟嘗君」「楽毅」そしてこの本が読みずらかった。 時代としては春秋時代が舞台なのがOKで、戦国時代ものがNG。 時代背景が主人公の主張に同調しているから読みやすく、浮いている時代がNGなのか。 も...
どうにも読みずらく時間がかかった。 この人の作品では「晏子」「介子推」は読みやすく、「孟嘗君」「楽毅」そしてこの本が読みずらかった。 時代としては春秋時代が舞台なのがOKで、戦国時代ものがNG。 時代背景が主人公の主張に同調しているから読みやすく、浮いている時代がNGなのか。 もちろん私の感情がそう感じているだけなのかもしれないが。
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ラストを、日本人的だなぁ、と感じた私は、中華を誤解しているのだろうか。 たぶん、日本人を描いた作品であれば、何も違和感はなかったと思うし、この人の作品であれば、それもアリだったとは思うんだけれども。宮城谷昌光の描く中国ではない、という気がしてしまったラストでした。「死んで滅び...
ラストを、日本人的だなぁ、と感じた私は、中華を誤解しているのだろうか。 たぶん、日本人を描いた作品であれば、何も違和感はなかったと思うし、この人の作品であれば、それもアリだったとは思うんだけれども。宮城谷昌光の描く中国ではない、という気がしてしまったラストでした。「死んで滅びず」みたいな発想は、実は日本人固有のもの(そんなものがあるか、という突っ込みはなしで…)じゃなくて、『史記』に昵近した日本人がそこから育んだものなんだろうか、とも考えてみる。納得はし難いけれども。 項羽と劉邦を描こうとしながら、中心に田横を据えるという発想は、やはり宮城谷昌光、だと思う。けれども、中心に据えた以上はきちんと中心に置いたまま描いて欲しかった、というのが正直なところで、作品前半で話の中心がフラフラとぶれ続けたことが残念。歴史の中心点をややずらす、というのはこの作家の得意な描き方だと思っていたので。以前の作品では、必要なときに必要な解説を加えて、尚作品のテンポを落とさない上手さが感じられたのだけど、今作前半ではそれがなかった。後半に来て回復したように感じられたので、これが連載小説の怖さだろうか。
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香乱記の最終巻を読み終えました。感想ですが、正直この巻での読みどころは、田横が兄たちの思想を想い、洛陽直前で自殺する場面のみでした。 香乱記では、項羽や劉邦を人格的に低くとして、田氏兄弟の歴史的評価を覆そうと作者は、したかったと思います。しかし、夏姫春秋のようにはうまくいかず、...
香乱記の最終巻を読み終えました。感想ですが、正直この巻での読みどころは、田横が兄たちの思想を想い、洛陽直前で自殺する場面のみでした。 香乱記では、項羽や劉邦を人格的に低くとして、田氏兄弟の歴史的評価を覆そうと作者は、したかったと思います。しかし、夏姫春秋のようにはうまくいかず、贔屓の引き倒しになってしまった気がします。 ですが楚漢春秋に於いて語られることの少ない、斉という国の動きを知ることが出来たので、そういう意味では良い作品だったのかなと思います。
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