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歴史をかえた誤訳 の商品レビュー

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24件のお客様レビュー

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英語の誤訳が悲劇につ…

英語の誤訳が悲劇につながったということを知ることができる。

文庫OFF

2024/08/04

誤訳の定義が難しいということに触れつつ、有名なポツダム宣言時の首相の「黙殺」という発言の英訳からはじまり、さまざまな日本語と外国語の通訳・翻訳時に起きた問題を取り上げて解説されている。 ある言葉を直訳するか相手国の文化などを考慮して伝わるように変更して訳すかどうかで受け取り側の...

誤訳の定義が難しいということに触れつつ、有名なポツダム宣言時の首相の「黙殺」という発言の英訳からはじまり、さまざまな日本語と外国語の通訳・翻訳時に起きた問題を取り上げて解説されている。 ある言葉を直訳するか相手国の文化などを考慮して伝わるように変更して訳すかどうかで受け取り側の行動が変わるが、そのまま伝えても取引を失敗したから誤訳なのか、結果がよくても違う言葉で伝えたから誤訳なのか。 もちろん訳者に外国語の知識がない、外国の文化を理解していないなどの問題がある場合もあるがどうしても訳を担当した者に非難が集まってしまうことが多い。 また、本書ではわざわざ訳が難しい比喩表現などを使う原発言者に問題があるケースもあると指摘していてまさにその通りだと思う。外国が注視する発言をする場合に日本人でも理解しにくい微妙なニュアンスの違いを求めて言葉を選ばれても、訳者が意図通りに受け取れるかもわからないし、さらに訳語を受け取った人間が意図を理解することはかなり難解になってしまう。 それゆえ、首相など国外とのやりとりが必須になる立場である人はより伝えるということを意識して発言をしていかなければならないのだろう。 面白かったのは、英語力に定評のあった中曽根首相・宮沢首相の二者がこぞって英語で問題を起こしたということ。 日本人の平均より英語が話せるからといって知ったかぶりをしたり、しっかり伝えるということへの意識が低くなってしまったりした結果なのだろう。 こうした失敗の経験からも専門家としての通訳・翻訳の重要性が理解できる。 以前より国外とやりとりする人も増え、AIも発達していることで訳者の重要性を軽視する人が多くなってしまう予感がするが、認識の改善や教育面の充実が行われることを祈る。

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2023/12/17

主に政治の場で展開された会話で、ちょっとしたニュアンスの差(文化の差)からトラブルになった事例を紹介している。 冒頭から第二次大戦での原爆投下に繋がったとされる、ポツダム宣言に対する日本政府の「黙殺」という言葉が話題に上る。発した側と受け取った側の真意は色々あるだろうが、異国間...

主に政治の場で展開された会話で、ちょっとしたニュアンスの差(文化の差)からトラブルになった事例を紹介している。 冒頭から第二次大戦での原爆投下に繋がったとされる、ポツダム宣言に対する日本政府の「黙殺」という言葉が話題に上る。発した側と受け取った側の真意は色々あるだろうが、異国間でのコミュニケーションの重要性が伝わってくる。 通訳という仕事の優劣は、ネイティブか否かよりも結局のところ母国語の語彙力や理解力に左右されるという。特に文学作品などはそれが顕著に出る。 自分自身たくさんの本を読んでいるが、翻訳ものはどうしても苦手だ。読書を始めてしばらく経ってから翻訳物が読みづらい理由が異国間での文化や言い回しの違いによるものだと気づいた。その事は本書でも、重要事項として多面的に語られている。 同じ言語同士でも意思の疎通ができないことだってある。まずそこを理解することが必要だ。

Posted byブクログ

2023/04/02

著者は立教大学異文化コミュニケーション研究科創設者の鳥飼玖美子先生。1〜3章は歴史的事例から通訳における誤訳というものを考察、後半は翻訳における文化の違いの重要性に着目し、最後に通訳者の使命や通訳研究の必要性を提起している。 ややセンセーショナルなタイトルがつけられているが、裏...

著者は立教大学異文化コミュニケーション研究科創設者の鳥飼玖美子先生。1〜3章は歴史的事例から通訳における誤訳というものを考察、後半は翻訳における文化の違いの重要性に着目し、最後に通訳者の使命や通訳研究の必要性を提起している。 ややセンセーショナルなタイトルがつけられているが、裏表紙にあるような誤訳の話は前半だけ。通訳論の本が書きたかったとあとがきに書かれているとおり、単なる誤訳論議の本ではなく、もっと客観的に、色々な話題が盛り込まれた通訳論への橋渡し的な一冊になっている。特に、通訳者や通訳者を目指している人は基礎知識として読んでおくとよいと思う。 「通訳は言葉を訳すのか、メッセージを訳すのか」という議論があるらしい。メッセージだとしたら、日本語から英語への通訳は概念から言語という着物をはぎ取り洋服に着替えさせるような役割なのか、それは可能なのか、そもそも言語とは何か・・・。最後の章にあった問いかけが気になった。翻訳を仕事とする者としても、今後考えてみたい。

Posted byブクログ

2021/09/17

歴史において翻訳が必要となる場面は多々あるが、いわゆる「誤訳」はどうして起こるのか、、なぜそれは誤訳になってしまうのかというのがすごく端的にまとめられている。取り上げられている題材もわかりやすい説明がついているので少し日本史に抵抗がある人で英語に興味がある人は面白いと思う。文化的...

歴史において翻訳が必要となる場面は多々あるが、いわゆる「誤訳」はどうして起こるのか、、なぜそれは誤訳になってしまうのかというのがすごく端的にまとめられている。取り上げられている題材もわかりやすい説明がついているので少し日本史に抵抗がある人で英語に興味がある人は面白いと思う。文化的に背景を捉えながら英語を学ぶことの重要性を感じた。日本の英語教育ってどうなんだろうな〜と思わずにはいられなかった。

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2020/12/21

読書録「歴史を変えた誤訳」2 著者 鳥飼玖美子 出版 新潮OH!文庫 p132より引用 “ 通訳者はふたつの異なった言語のかけ橋 となるのが使命であり、四苦八苦ときには七 転八倒さながらにオリジナルの発言を訳し、 異文化、異言語の聞き手に可能なかぎり正確 に理解してもらおう、...

読書録「歴史を変えた誤訳」2 著者 鳥飼玖美子 出版 新潮OH!文庫 p132より引用 “ 通訳者はふたつの異なった言語のかけ橋 となるのが使命であり、四苦八苦ときには七 転八倒さながらにオリジナルの発言を訳し、 異文化、異言語の聞き手に可能なかぎり正確 に理解してもらおう、と努力する。少なくと も、そのはずである。  しかし、ときにそうならないことがある。 状況によって、故意に違った内容に訳される、 という信じられないことが、これまでも起き ている。” 目次より抜粋引用 “歴史をかえた言葉  外交交渉の舞台裏  ねじ曲げられた事実  まさかの誤訳、瀬戸際の翻訳  文化はどこまで訳せるか”  通訳者である著者による、世界情勢に大き な影響を与える通訳の、失敗や苦労を記した 一冊。他社刊行作「ことばが招く国際摩擦」 改題・加筆文庫版。  歴史上の誤訳による外交の変化から通訳の 持つ役割についてまで、時折ユーモアを交え て書かれています。  上記の引用は、事実が通訳によって捻じ曲 がることについて書かれた章での一節。 どれほど相手との関係をよくしようとしても、 間に立つ人に関係悪化を画策されては、良く なりようがありませんね。本当に大切なこと は、直接やり取りできるようになることが大 切そうです。  日本語しか使えない自分としては、翻訳者 や通訳者の存在は、有り難いばかりです。 ーーーーー

Posted byブクログ

2018/12/11

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Posted byブクログ

2018/07/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

もう少し歴史寄りの内容かと思って手に取ったのだが、それは第3章くらいまでで、残りは日米の文化的な差異や言語特性から生じる誤訳や、翻訳通訳の苦労話だった。まあ、それはそれで面白かったのだけど。 特に ・「オーク」の誤訳により、日本で採れる木材で作られた家具をわざわざ輸入していた話(P159) ・天声人語は英語話者には何を論じたいのか理解されない話(p255) ・江戸幕府のオランダ語通訳は優秀だったので、ドイツ人なのにオランダ人と偽って入国しようとしたシーボルトが、自分は方言を話していると言い逃れた話(p275) は大変興味深かった。

Posted byブクログ

2013/11/29

「言葉は文化である。」この言葉をまさに実感できた本。 どんなものをとっても、100パーセントの意味を持って訳すことはできないようです。an orange cat って、何色の猫だと思いますか?

Posted byブクログ

2013/08/12

読み応えのある翻訳論だった。 第一章、第二章などは、太平洋戦争中、そしてその後の政治の場面の中での誤訳が扱われている。 その辺りは政治状況についての知識や、興味があまりなかったので、少々つらかった。 後半は、翻訳がどこまで可能なのかという話が中心。 こちらの方は、かなり読みや...

読み応えのある翻訳論だった。 第一章、第二章などは、太平洋戦争中、そしてその後の政治の場面の中での誤訳が扱われている。 その辺りは政治状況についての知識や、興味があまりなかったので、少々つらかった。 後半は、翻訳がどこまで可能なのかという話が中心。 こちらの方は、かなり読みやすい。 芭蕉の古池の句をどう訳すかという話は、非常に面白かった。 言葉を単純に置き換えるレベルなら、いかようにも訳すことはできるけれども、「かはず」を「frog」と訳して済ましてよいのか、とのこと。 英語圏でいう「frog」は、侘びさびどころか、出てくるだけで噴出してしまうような、あまり情緒的にみられることのない生き物だからだそうだ。 それ以外にも、通訳は沈黙を訳すことはできない、論理構成まで訳すことはできないという指摘も興味深かった。 通訳を使う人が、通訳の限界を知っておくべきだとも。 私の目には通訳にしても、翻訳にしても神業にしか見えないが・・・。 通訳者を養成するメソッドの開発が急務だという話も巻末にあった。 通訳論や翻訳論が、まだそういう状況なのだということも、ちょっと驚いたことだった。

Posted byブクログ