栄光の宇宙パイロット の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
若い頃に宇宙開拓の最前線で活躍した老宇宙飛行士とその曽孫である少年の心の交流という「宇宙版ニューシネマパラダイス」のような始まりだが、てっきり少年が宇宙飛行士になって曽祖父の夢を継ぐのかと思ったら80歳になろうかという本人が再び宇宙に出るという少々度肝を抜く展開。 それも往復30年という、ウラシマ効果を考慮しても老体にはキツそうな旅である。 まぁ宇宙船の速度がそれほど速くないのでウラシマ効果と言うよりは冷凍睡眠で時を稼ぐということになっているのだが。 それにしても「15光日(光が15日間で進む距離)」という近そうでやっぱり遠い目的地までの距離と「30年」という短そうでやっぱり長い時間が妙にリアル。 少年は立派なオッサンになって子供までできてるし。
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ソビエトSFの大家、ゲオルギー・ヨシフォウィチ・グレーウィッチ(1917-1998)の作品 引退した宇宙飛行士(チャルチン)が最後の探査(赤外線星)に出かけて、その深海で知的生命体を発見する話です。孫のパーブリクの目線で書かれていて、プロヒンという夢想家が登場し、火星や金星を地...
ソビエトSFの大家、ゲオルギー・ヨシフォウィチ・グレーウィッチ(1917-1998)の作品 引退した宇宙飛行士(チャルチン)が最後の探査(赤外線星)に出かけて、その深海で知的生命体を発見する話です。孫のパーブリクの目線で書かれていて、プロヒンという夢想家が登場し、火星や金星を地球軌道にもってくるとか、子供を木星衛星で育てて頑健にして、月に老人ホームを建てるという太陽系改造計画を話します。 子供用に訳されているけど、面白いですよ。 最後の探検を医者にとめられるシーン ーーーー きみは医者だ。医者にはみょうなかんがえがある。人間は医者の手にかかって、病気で死ぬのが本分だ、などという。きみもそうおもっているんじゃないかね。ところがわたしたち、コスマッチ(宇宙飛行士のこと)には、またコスマッチのかんがえがあるんだ。コスマッチのいのちは、年のかずではなくて、発見の数で、計算することになっている。……わたしはもう自分のさいごの一行を書き、さいごの一ページを読んでしまった人間だ。たのむ。もう一つ、頂上にのぼらせてくれ。 (『栄光の宇宙パイロット』岩崎書店、1967年、2004年、pp.103-104)
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