宇宙のスカイラーク号 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
E.E.スミスは後に「レンズマン」というスペースオペラの一大叙事詩で有名になる人だが、その前日譚的位置にあるのが本作。 核分裂と言うよりは対消滅のようなエネルギー理論を発見した科学者シートンはそれによって深宇宙まで探索可能な宇宙船「スカイラーク号」を建造するのだが、その研究を横取りしようとする極悪科学者デュケーンによってスカイラーク号と同等の能力を持つ宇宙船が建造され妹のドロシーが誘拐されてしまう。 誘拐時にドロシーが暴れたせいでデュケーンの宇宙船は太陽系を飛び出して途方もなく遠い宇宙を漂流してしまい、ドロシーを救うためにシートンはスカイラーク号で追跡する・・・までが前半である。 未知の惑星を探検するとか異星人からの救難信号をキャッチしたとかいう理由でないのが驚きだが、実は本作が人類が太陽系の外に出た最初のSFということになっているらしい。 具体的にどの辺まで行ったかは固有の恒星名が出てこないので分からないのだが、少なくとも星座の形が変化するほど遠くまでは行っているようである。 この後シートンはデュケーンの宇宙船を呆気なく捕縛するも超巨星の重力から脱出するために大量の燃料を消費し、帰路の燃料を確保するために寄り道感覚で近場の惑星を探検しては恐竜的怪物や異星人艦隊と戦ったりする。 もうこの辺はターザンの延長っぽいこの頃のSF特有の傾向だとは思うのだが、捕縛した後のデュケーンが決して卑屈にならず悪びれもせず、かと言って容易く反旗を翻すことなくシートンに従っているのが面白い。 中途半端な所で中途半端に反乱を起こしても無駄で、まず地球に帰還するまでは何が何でも共闘するのが重要と考えるこの合理的判断は悪役ながらも好感が持てる。 正直、私もバカな正義漢よりは頭の良い悪漢の方が好きである。
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キャプテン・フューチャーに先立つこと二十年?スペースオペラ面白いです。積読の創元推理文庫のシリーズも、いつかちゃんと読まなきゃ。
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