世界のすべての七月 の商品レビュー
アメリカのとある大学の1969年度の卒業生が、31年ぶりに級友たちと再開し、過去と現在を交えながら進行する群像劇。 最初のうちは登場人物の名前と関係がこんがらがり、読み進めるのに苦労したが、波に乗り出すと面白かった。暇つぶしには丁度いい。 年代は全く違うが、90年代に放送されて...
アメリカのとある大学の1969年度の卒業生が、31年ぶりに級友たちと再開し、過去と現在を交えながら進行する群像劇。 最初のうちは登場人物の名前と関係がこんがらがり、読み進めるのに苦労したが、波に乗り出すと面白かった。暇つぶしには丁度いい。 年代は全く違うが、90年代に放送されていたアメリカのドラマ「ビバリーヒルズ青春白書」を思い出した。あのドラマが好きだった人はこの本も好きだと思う。彼らのその後もこんな感じなのだろうな、きっと。
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ゴツゴツしてなかなか読み進めないが、最後には大きな感動が待っている。彼らはちょうど私より二十ほど歳上。今彼らと同年代で、いま読んでよかった。
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訳者の村上春樹さんがあとがきで語っているように、「人々は生き続けるために、燃料としての記憶を切実に必要としている」。そのことが、1969年にとあるアメリカの大学で青春をおくった若者たちが、31年後7月に同窓会にて集い、その各々の物語を交差させ、新たな燃料とすべく、人生を新たに更新...
訳者の村上春樹さんがあとがきで語っているように、「人々は生き続けるために、燃料としての記憶を切実に必要としている」。そのことが、1969年にとあるアメリカの大学で青春をおくった若者たちが、31年後7月に同窓会にて集い、その各々の物語を交差させ、新たな燃料とすべく、人生を新たに更新させようとする、再生についての慎ましやかな祈りみたいなお話。
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あくまでも個人的な見方だけど、アメリカ文学らしいハチャメチャっぷり。 会話文などを通したキャラクターのリアリティーがスゴい。書いている作者の理性じゃない部分、無意識とか理性のゆらぎみたいなとこで書いてる部分と、うまく組み立てて面白くしているところのバランスがとてもいい。 村上春樹...
あくまでも個人的な見方だけど、アメリカ文学らしいハチャメチャっぷり。 会話文などを通したキャラクターのリアリティーがスゴい。書いている作者の理性じゃない部分、無意識とか理性のゆらぎみたいなとこで書いてる部分と、うまく組み立てて面白くしているところのバランスがとてもいい。 村上春樹のあとがきでは下手が上手いみたいなこと書いていたけど、確かにカポーティとかと比べて構成の完成度、無駄のなさという意味では下手かもしれないが、この作家はたぶん技術としてそういう揺らぎを使っているので、リアリティーの完成度という意味ではメチャクチャ上手い。というか、すごく面白かった。 同窓会で出会う50代の男女ら、群像劇。 諦めの進行度とか戦争や政治に対する感覚とか共感できない部分もあったけど、基本的には経験値が違うだけで同じ人間なんだなぁって思ったし、その経験はリスペクトしたい。
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1969年度の大学卒業生が31年ぶりの同窓会で出会う。主要な11人の人物の過去を振りかえり、そして同窓会でのはちゃめちゃな喧騒。いうまでもなく、ベトナム反戦世代であり、卒業後直ぐにベトナムで片足を失った男性デイヴィット。彼を裏切り、その後乳がん手術で胸を失った女性ドロシー。大学の卒業アルバムでトップレス姿を披露し、停学処分になったスプーク。若い女性を妻にもったマーヴ。チアガールとして活躍し、今は女牧師になったが問題を起こしているポーレット。・・・53歳という設定は今の自分の歳と近く、彼らが31年ぶりに会った席で昔の恋愛感情を思い起こし、場合によっては新しく恋愛が始まるという姿も理解できるものがあります。訳者・村上春樹も同世代として共感を覚えたのだと思います。しかしながら、理想に燃えた1969年の情熱と肉体の美しさを失い、醜悪とさえもいえる愚にもつかない会話に励む彼らの姿は私たちへの何とも言えない皮肉とも感じられるものがあります。1969年はアポロ11号月着陸、ニクソン大統領就任、万年最下位NYメッツのミラクル初優勝など、昨日のように思い出す、私にとっても印象的な年です。村上龍の原作に基づく「69年」が映画化され、ヒットが見込まれるとのこと。イラク戦争による米国の世論分裂が35年前に似ているからなのでしょう。
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村上春樹訳なので 読みにくいってことはないだろうと思って105円で買った本 読みにくい なんだろう文化の違いだろうか そんないかにもセリフっぽいこと言わないだろー いやでもアメリカ人は言うのか???? そんなことばかり考えて おっそろしく読むのに時間がかかった 久しぶりの同窓...
村上春樹訳なので 読みにくいってことはないだろうと思って105円で買った本 読みにくい なんだろう文化の違いだろうか そんないかにもセリフっぽいこと言わないだろー いやでもアメリカ人は言うのか???? そんなことばかり考えて おっそろしく読むのに時間がかかった 久しぶりの同窓会で あっちこっちで浮気したり不倫したりする話 あっちでも!こっちでも! 人それぞれ人生いろいろなんだからーって話にも見えるけど あっちでも!こっちでも! それを寛大な心で紆余曲折あるわよねぇって思えなかった うんざりするので4分の3くらい読んだところから 斜め読みしてしまった つまんなかったけど 最後まで読んだので星は2つ
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2000年に53歳を迎えた人たちの群像劇を描いた小説。 まずこの小説を読んだ際に少し(自分に対して)残念だったのは、 アメリカの時代背景を知らなかったこと。 1969年に何が起きて、彼らはどのような時代を生きてきたのか。 その次代の文化や史実を知っていれば、この小説も もう幾分かは面白く読めたかも知れない。 読み物としては、どこか終着点へ向かうでもなく、 大きな山や谷もなく、そういう意味では面白みに欠けるし、 村上春樹独特の言い回しも顕在で、 まったく受け付けない人も少なくないだろう。 ただ、人の生臭さみたいなのが滲みでていて、 個人的にはついつい引き込まれてしまうような小説だった。
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村上春樹訳。 舞台は2000年、アメリカ。 なんとか大学の1969年度卒業生の同窓会の模様と、 それぞれの損なわれた人生について交互に書かれている。
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例えば向田邦子を読んでズルいと感じたりするのは、 その章、その一編の最後の一文(ときにそれは、一行の空白の後に"置かれる")が全てもっていってしまうからだと思う。 余韻の残し方が、ずるいくらいに巧い作家。 向田邦子の場合は、それ以外の要素(言葉の使い方や文章...
例えば向田邦子を読んでズルいと感じたりするのは、 その章、その一編の最後の一文(ときにそれは、一行の空白の後に"置かれる")が全てもっていってしまうからだと思う。 余韻の残し方が、ずるいくらいに巧い作家。 向田邦子の場合は、それ以外の要素(言葉の使い方や文章の流れ、テンポの緩急)も含めて巧いから、問題の余韻の残り方についても巧すぎてずるいとすら思う。 本来はどんな巧い締めでも、そこまでに積み重ねられた味わいのようなものがあって初めて余韻が生まれるのであって、巧いだけじゃ何も残らないとは思うのだけども。 * 「世界のすべての七月」を読んで向田邦子を連想するのはおかしいのだけれど、 ただ章ごとの余韻の残り方が共通して私好みに良かったわけです。 さらっていく感じ。 全て明らかにしました、という呈で、しらっと謎かけを残していく。 『1969年7月』でがつんとやられて、そこからは一息。 但しエッセイや短編と異なって凄まじいのは、 長編の群像劇であるからには各章の「余韻」を、「群」になっている『1969年度卒業生』の同窓会シーンで回収していくところ。 (これについては、本当に回収しきれているのかしきれていないのか危うさもあるけれど) 「過去」が形成されるまでの経過があり、過去の「余韻」を残す現在としての同窓会が描かれる。 当然、別に「過去」が形成されるまでの彼と、「余韻」を抱えた現在の彼とが劇的に別人格になっているわけではない。 なるべくしてなったとも言えるけれども、でも人が「過去」として記憶することはほんの一部で、 その一部の前と後として、彼自身にとって彼の人生という時間は記憶されていく。 だから区切りであるところの「過去」を、巧過ぎる一文でくるっと浚うのは、ありなのだと思うのです。
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舞台は、50代の同窓会。 お酒を飲んだり、踊ったり、愚痴ったり、後悔したり、恋に落ちたり。 まるで自分がそこにいるかのように、シーンに浸ることができる。 まだその年齢に達していないけど、なぜか「気持ちが分かる」ような気にさせる。 話にのめりこむ分、読むのに時間がかかったし、疲れ...
舞台は、50代の同窓会。 お酒を飲んだり、踊ったり、愚痴ったり、後悔したり、恋に落ちたり。 まるで自分がそこにいるかのように、シーンに浸ることができる。 まだその年齢に達していないけど、なぜか「気持ちが分かる」ような気にさせる。 話にのめりこむ分、読むのに時間がかかったし、疲れた。 あのボリュームがあってこそ完成、なのは十分承知してるけど。
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