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屏風のなかの壺中天 の商品レビュー

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2013/08/27

大雑把にいうと、中国の絵画の中における「だまし絵」の要素を検証したもの。まず、絵の中に描かれる衝立(絵画が描かれているものであれ、無地であれ)が一つの絵画の中での「フレーミング」であること[p180]。そして、衝立に描かれた絵画とそれに呼応するその衝立の周囲の要素が「メタピクチャ...

大雑把にいうと、中国の絵画の中における「だまし絵」の要素を検証したもの。まず、絵の中に描かれる衝立(絵画が描かれているものであれ、無地であれ)が一つの絵画の中での「フレーミング」であること[p180]。そして、衝立に描かれた絵画とそれに呼応するその衝立の周囲の要素が「メタピクチャー」、さらには「メタ・メタピクチャー」として絵画の物質性を鑑賞者に意識させること。 画集や美術館で展示される状態で鑑賞すると絵画はその物質性を失ってしまう。例えば巻物は本来徐々に開きながら鑑賞するもので、画集や展示された状態のように一気に全体が提示されるものではなかった。このことは、p65などで触れられている。レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」が実際はあんなに小さいというようなものもそうである。 絵画は物質としても鑑みられなければならない。

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2009/10/04

指示対象を持つが意味の深みを持たない記号を固有名へ従属させる、古典的な再現=表象[ミメーシス]への回帰としての「固有名の美術史」(ロザリンド・クラウス)と比較して述べるならば、ウー・ホンの指摘は、指示対象と同時に意味の深みを持つ記号(本書では衝立)が「テクスト包囲網」によってパノ...

指示対象を持つが意味の深みを持たない記号を固有名へ従属させる、古典的な再現=表象[ミメーシス]への回帰としての「固有名の美術史」(ロザリンド・クラウス)と比較して述べるならば、ウー・ホンの指摘は、指示対象と同時に意味の深みを持つ記号(本書では衝立)が「テクスト包囲網」によってパノフスキー的な次元の解釈にとどめられている、ということになろうか。「テクスト包囲網」とは中国絵画をめぐる歴史上の文献や詞書、近代の言説が、絵画そのものを観ることを阻んでいる情況を指すのだが、ウー・ホンの主張は、それを突破した上でさらに描かれた衝立の記号としての構造を明らかにすることで、視覚的イリュージョニズムの体系の攪乱を読み取ろうとする。

Posted byブクログ