風景の向こうへ・物語の系譜 の商品レビュー
著者が見てきた日本の…
著者が見てきた日本の移り変わり、風景などを記したエッセイ。
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作家・中上健次の本能的な部分から書かれているようなエッセイ集で、理屈で考えると飛躍しているというかよく分からないところもある気がしますが、筆者の魂のこもったという意味では嘘偽りのない文章です。 絶え間ない「根底」の揺らぎ、「交通」への接近、という2つが全編を通して強調されていま...
作家・中上健次の本能的な部分から書かれているようなエッセイ集で、理屈で考えると飛躍しているというかよく分からないところもある気がしますが、筆者の魂のこもったという意味では嘘偽りのない文章です。 絶え間ない「根底」の揺らぎ、「交通」への接近、という2つが全編を通して強調されています。自分も十分に理解できているとは言い難い状況ですが、色々な作家を解読する際にもこの基準はぶれておらず、そういった点では筋が通っているように感じられます。 40代という若さで逝去してしまったことが本当に惜しまれます。もし生きていたら、という仮定には意味は乏しいかもしれませんが、もし中上健次が生きていたらどう考えるだろうか、と考えてみることには意義があるかと思います。
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